【SLS AMG 日本発表】アルミスペースフレームとFミッドシップ

自動車 ニューモデル 新型車
SLS AMG
SLS AMG 全 12 枚 拡大写真

メルセデスベンツ『SLS AMG』が、その先代モデルである『SLRマクラーレン』と比べ、遥かにリーズナブルな価格(それでも2430万円は庶民には夢の夢だが)を実現しているのは、そのシャーシ構造によるところが大きい。

[写真&図版12点。構造図含む]

SLRマクラーレンはマクラーレンの工場で手作りされたドライカーボン製のパーツを1つ1つ組み付けていたのに対し、SLS AMGはアルミツインチューブを基本構造にしたスペースフレームで、その上にアルミ合金製のスキンを被せるといった構成となっている。組み立てはかなりの部分で手作業となっていても、部品の製造ははるかに量産性が高いために生産コストは大幅に抑えることができるのだ。

ガルウイングドアを支えるためにもルーフ部分だけでもかなりの剛性が要求されると思われるが、ボディの96%にアルミ合金が使われており、使われる部分によって押し出し材やプレス材、鋳造部品を組み合わせて効率化が図られている。そのためボディの大きさはほぼ同等でありながら、SLRマクラーレンよりも軽い車重(1620kg)に収まっているのだ。

もっともこれはパワートレイン系のダイエットも効いている。SLR AMGは55系のSOHC3バルブユニットをベースにしていたために、スーパーチャージャーを2機も搭載していたし、5速ATの容量確保のためには、ある程度の重量を余儀なくされていた。

ドライサンプ化により低くマウントされたエンジンは、トランスアクスルレイアウトによってトランスミッションがリヤアクスル後ろに置かれたことで、完全なるフロントミッドシップも実現している。エンジンとトランスミッションをつなぐトルクチューブはアルミ合金の鋳造で、内部には4kgしかないカーボンファイバー製のプロペラシャフトが仕込まれているといった具合だ。

サスペンションはコンベンショナルな4輪Wウイッシュボーン。しかし、ハブキャリアや上下のAアームはアルミ合金の鍛造製で、支持剛性も相当に高そう。フロント19インチ/リア20インチの大径ホイール内の空間を活用した大きなアップライトを見ただけで、上質感のある乗り心地と安定感のある走り、シャープでスムーズなハンドリングを両立していそうだ。

前後の重量配分の最適化や、重量物の重心への集中化、低重心&高ロールセンターなど無理のないシャーシ設計が、SLS AMGに高次元の走りを実現させている。このシャーシのポテンシャルは相当に高そうだ。

《高根英幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ハイラックス』新型、全方位パワートレーンで誕生…日本はディーゼルを2026年発売へ
  2. カローラクロスと立場が逆転、だからこそ生まれた「斬新セダン」のデザイン…ジャパンモビリティショー2025
  3. 日産『ノートオーラ』など5車種783台をリコール…光軸が保安基準を満たさない
  4. ライバルはアルファード? メルセデスベンツの最高級ミニバンが日本初公開!…ジャパンモビリティショー2025
  5. 爆売れ確実? これがトヨタ『ランクルFJ』のピックアップトラックだ! 実現の可能性は
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る