ブラジルはサンパウロの教会に勤めるアントニオ神父。たいていのブラジル人と同じようにサッカーファンだ。いや、平均よりは熱心なファンだった……。
ワールドカップ南アフリカ大会、ブラジル戦のチケットを入手できたのだが、なんと試合は日曜日のコートジボワール戦。ミサのある日だ。ミサを中止にしたい。まさかサッカー観戦のためとは明かせないので仮病を使って、胃潰瘍のため休養、面会謝絶ということにして南アフリカへ飛ぶ。
このアントニオ神父の不正に気づいたのが大天使ガブリエルだ。天罰を与えてください、と神様に報告する。うむ。神様はうなずくと懐から笛を取り出し、サッカーの審判がファウルを宣告するようにピリリと鳴らした。その笛がサンバホイッスルに似ていたのは気のせいだ。
すると地上のヨハネスブルグの歩道を歩いていたアントニオ神父、すれ違い様に一人の若者にぶつかる。それがなんとブラジル代表選手のカカー。やあ失礼、これはこれは、遠いところからどーも、とたちまち打ち解けてサインをもらう、仲間(とうぜんブラジル代表チームだ)との夕食に招待される、翌日の試合はVIP席を手配してもらう……。
大天使ガブリエルが神様に尋ねる。「この幸運のどこが天罰なのですか?!」。神様が厳かに答える。「アントニオ神父はこの幸運を、いったい誰に話すことができる?」。
★古典ジョーク。ゴルフ好きの神父が難攻不落のコースでホールインワンを達成するバージョンもある。