1.2リットルの『ゴルフ』。こう聞いてしょっぱい気持ちになったとしたら、それは時代に乗り切れていない証拠。試乗直前の私のことである。
だけど、1.2リットルエンジンに対する私のこうした負の先入観は、エンジンをスタートさせて、アクセルの最初のひと踏みでぶっ飛んだ。なんだこの加速感? だって1.2リットルだもん、どうせ、エンジン音をぶいぶい言わせるだけで加速しないだろうという予想は瞬殺。私の時代遅れをあざ笑うかのように、ものの見事にするするっと加速していく。そして、あっけにとられる私が、我に返ったときには、希望通りの速度域に達しているのだ。なんだこの出だしのよさは。
市街地で走らせて、不満も不足も微塵もなく、笑っちゃうくらい軽快に走る。しかも足がいい。ボディがしっかりしているゴルフの特徴があってこそなのだが、15インチのタイヤが路面の凹凸をほどよくとらえ、その乗り心地のいいことといったら、この上ない。
さらに燃費。高速道路を制限速度で走らせてみたら、リッターあたり24kmを越える優等生ぶり。ちょっと待って、それってあり? それじゃハイブリッドはもちろん、ほかのゴルフもいらないんじゃないの? ハイブリッド、電気自動車、もろもろ新技術で盛り上がっているけれど、既存のエンジンでここまでできるってすごくない? いや、絶対、すごいと思います。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省安全基準検討会検討員他、委員を兼任。