『フェアレディZ(Z32)』などを手がけたもと日産自動車デザイナーの山下敏男氏は、オートデスク主催のイベント「Autodesk Designers Day 2010」での講演で、次世代EVタクシーのデザインラフを公開。屋根にテント素材を用いた傘をイメージさせるEVだ。
(残念だがラフの掲載はNG。山下氏の言葉から想像していただきたい)
「日本の気候風土に合わせたEVタクシーを創造してみたい。このクルマにも傘をイメージしたルーフが備わる。(先に提案した)『傘車』と同じように傘が被さるかたちだが、こちらの素材はソーラーパネルではなく、テントなどに用いられる素材を使う。サイドウィンドウとルーフの間は隙間ができていて、風が後ろに抜けるようにしたい」
「直立させたサイドウィンドウに三角窓を復帰させ、日差しが入らないようにし、エアコン使用の頻度を減らし、バッテリー負荷軽減にも貢献させる。ドアは120度ぐらい開くようにし、車椅子が入れるようにしたい」
こんなクルマの登場はまだまだ先の話のように聞こえるが、実はすでにタクシー業界から声がかかっているという。
「東京のタクシー業界の人たちと話をしていると。『そのデザイン、俺に最初に見せてくれ』といってくれる社長もいる。プロトタイプをつくろうという話まできている」
ユニバーサルデザインも積極的に採用し、さらにタクシードライバーの“プロ意識”を向上させるデザインも施すという。
「ドライバーズシートを独立させ、客室の前後の距離を現状のタクシーよりも大きくとる。雨の日などに乗ったとき、ひざがシートにあたる不快感を解消する幅にしたり、タクシードライバーと客室の間に仕切り窓を設け、ピンマイクで客と交流を持てるようにする。タクシードライバーのプロ意識をもっと向上させたいという思いもある」