既存の無料区間も含めて全国の高速道路の約30%を無料化してスタートした社会実験だが、40日を過ぎ、その弊害が語られるようになった。無料化を原因とする渋滞や、高速道路に車両が移ることによる地域経済への影響だ。
「当然ながら、並行一般道は車が減って、渋滞が緩和され、排ガスが減るとか、事故が減るというメリットもある一方で、走る車の台数が減れば、その界隈の商店や食堂の売上が減るということは想定されていた」と、前原国交相は6日の会見で、高速道路無料化の弊害について認めた。
その上で、こう語った。「最終的には、そのプラスマイナスを地域でどのように受け止めていただくのかということをヒアリングしながら、トータルとしてメリットデメリットを勘案して、どのように地域も我々に対してご意見をおっしゃってこられるかを踏まえて、新たな段階に社会実験を進めていきたい」。
言葉を選んで話した前原氏だったが、ここで強調したのは高速道路の無料化をどう受け止め、利用していくかという地域の姿勢だ。
沿線地域では、無料化を観光振興の起爆剤として期待する動きや、渋滞解消のバイパスとして代用しようとするケースもある。
前原氏の国土交通行政は、限られた予算を選択と集中によって効果的に投下することで、航空も港湾も新たな組み替えと活性化を促そうとしている。そこには競争と努力が求められている。高速道路無料化も単なるばらまきではなく、無料化による影響を突きつけることで、地域に対して何かを選択させようとしている。