オリジナル『ミニ』は、1950年代半ばに起こったスエズ動乱が引き起こした原油価格の上昇がきっかけで生まれた。つまりエコカーだったのだ。その精神が最新テクノロジーとともに復活した。
全車にエネルギー回生システムを採用し、MT車にはアイドリングストップも装備。ベーシックな「ワン」は排気量を1.4リットルから1.6リットルに拡大しつつ、4/5人乗り正規輸入車では最良燃費となる20.5km/リットルをマークしてしまったのだ。
その1.6リットルエンジン、アイドリング付近のトルクが細いのでクラッチミートに少し気を遣うけれど、走り出してしまえば逆にプラス200ccが生み出すフレキシビリティがありがたい。アイドリングストップはシンプルな機構ながら、信号待ちが多い日本の街中でもストップ&ゴーを完璧にこなす。複雑怪奇な機構を用いた某日本車を笑い飛ばしたくなるほどだ。
それ以外は正真正銘のミニである。キュートなデザインもファンな走りもそのままだ。しかもMTだけにアイドリングストップがつく。マニア的には大歓迎だ。エコの2文字が浸透した昨今は、クルマ好きというだけで白い目を向ける人も多い。そんななかで新型ミニは、マニアックなMTがいちばんエコでもある。エンスーにとっての救世主ともいえるクルマだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。