なぜ今、日本法人を立ち上げるのか…マセラティ・ジャパン社長

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マセラティ ジャパン 社長の ファブリッツィオ・カッツォーリ氏
マセラティ ジャパン 社長の ファブリッツィオ・カッツォーリ氏 全 9 枚 拡大写真

2010年5月、イタリア本国のMaserati S.p.Aの100%出資子会社として設立されたマセラティ・ジャパン。2011年1月のインポーター業務の本格始動に向けて、準備を着々と進めている同社だが、都内でおこなわれたメディア向けの試乗会で、代表取締役社長のファブリッツィオ・カッツォーリ氏が日本法人の設立経緯と展望について語った。

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本国においては、日本は欧州・北米・中国に並ぶ重要市場として位置づけられているという。現在の輸入元であるコーンズ&カンパニーリミテッドが正規輸入を開始した1997年は販売台数が162台に過ぎなかったが、2008年は580台とおよそ3.5倍にまで順調に伸ばしてきた。2003年に登場した現行『クアトロポルテ』や2008年に登場した『グラントゥーリズモ』といった新規投入モデルが相次いで好調な売れ行きを示していることが大きい。

特に4ドアセダンのクアトロポルテは「日本はワールドワイドでも1、2を争う販売規模であり、本国でも驚きを持って受け入れられている」(カッツォーリ氏)という。ハイエンドセグメントはドイツ系あるいは英国系ブランドの独壇場だったが、現行クアトロポルテによって、マセラティは一部のエンスジーアストだけのブランドではなく、ラグジュアリーブランドとしての地位を確立したといえる。

しかしながら、リーマンショックに端を発する金融危機のインパクトは日本のマセラティにも大きな影響を与え、2009年の販売台数は336台に大きく落ち込み、その余波を引きずっている今年はさらに数字を落として280台程度(予測値)と苦戦が続いているという。

こうした中で「販売を落とした原因は経済不況によるものだけではない」とカッツォーリ氏は分析する。「2000年代にかけて販売台数を伸ばしてきたことで、マセラティを保有されているオーナーが増えてきた。新規の顧客開拓のみならず、既存のお客様へのサポート体制の充実という点が、われわれが今後努力をしていかねばならないポイントだ」(カッツォーリ氏)。

したがってマセラティでは、サポートの充実と顧客フォロー、更なるディーラー網の整備と、それにとうなう新CI(コーポレートアイデンティティ)の導入などブランディング/マーケティングの立て直しが急務と判断したという。これらの活動には当然ながら相当の投資が必要であるが「(現状のインポーターに)これ以上の規模の投資をお願いするのが難しくなってきた」(カッツォーリ氏)ということもあって、マセラティ自身の資本によるマセラティ・ジャパンの設立が決定した。

本格始動の初年である2011年は販売300台を目標としており、2012年以降は販売台数/売上の前年比10%上乗せを目指すとしている。また、ディーラー網については現在の18店舗から2015年までに25店舗程度への拡張を進めるという。

《北島友和》

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