【池原照雄の単眼複眼】コンパクトカー三つ巴決戦の行方は

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ホンダ・フィットHV
ホンダ・フィットHV 全 10 枚 拡大写真

燃費、価格、使い勝手にもっとも厳しいユーザー

ホンダの『フィット』がマイナーチェンジするとともにハイブリッド車(HV)をシリーズに加えた。2BOXコンパクトカーは、日産自動車の新型『マーチ』に加え、12月にはトヨタ自動車の『ヴィッツ』が全面改良し、代表的な3銘柄が激突する。燃費性能や価格、使い勝手がユーザーから厳しく評価されるセグメントだけに、これまでの勢力図が塗り替えられる可能性もある。

フィットは159万円からという最安値のHVが注目されるが、ガソリン車1.3リットルのベースモデルの燃費(10・15モード、以下同)も従来の24km/リットルから24.5km/リットルに改良している。アイドリングストップ装置の採用などにより26km/リットルと、HVを除くガソリン車では最高の燃費を達成したマーチや、年内の新型ヴィッツ登場をにらんだ措置だ。

◆フィットHVの30km/リットルへの評価は?

フィットHVは、国内ではホンダ車販売のほぼ3分の1を占める看板車種へのハイブリッド展開となった。「まず日本市場でHVの普及にはずみをつけたい」と、伊東孝紳社長は最量販モデルへの採用の狙いを語る。

システムがコンパクトな同社のハイブリッドシステム「IMA」の特徴を生かして荷室の床下にバッテリーや制御ユニットを収容した。フィットの人気を支える荷室スペースを、そう犠牲にせずに、これも人気が高い後席のシートアレンジは従来仕様を踏襲した。

2モーター式のトヨタのハイブリッドシステムを、このクラスのコンパクト2BOXにパッケージングすれば、荷室や居住空間を相当犠牲にしなければならないだろう。もっとも、フィットHVの燃費性能は30km/リットルと、もの足りなさが残る。ホンダの近藤広一副社長は「さらに良くすることもできるが、結局はコストとの兼ね合い」と言う。

◆「スマートストップ」で燃費性能高めるヴィッツ

つまり、アルミ素材や高張力鋼板の採用などによる軽量化やデザインの手直しによる空力特性の改善などで、燃費性能を引き上げることはできるが、コストとの兼ね合いで落とし所を決めたというわけだ。フィットHVは事前予約が約1万台となり、同社にとっては「想定外」(近藤副社長)の反響となっている。

だが、燃費性能と価格を天秤にかけると、マーチや新型ヴィッツといった燃費性能を大きく改善したガソリン車も強力なライバルとなる。ヴィッツは、初代モデル以来採用したものの不人気だったアイドリングストップ装置を改良、新たに「スマートストップ」という愛称で新型車に搭載する。燃費性能はマーチを上回る見通しだ。

これまでこの3モデルは、トップがフィット、少し離れてヴィッツ、さらにだいぶ離れてマーチという勢力関係だったが、そうした構図が揺らぐかもしれない。同時に、フィットHVへの評価を通じてこのクラスでユーザーが求めるHV像も、徐々に明らかになっていくだろう。

《池原照雄》

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