【タイ自動車エキスポ10】伊東社長「ホンダは目覚めた」

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ブリオ発表会見
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ホンダは、アジア戦略車として2011年、タイ、インド市場に投入する予定の『ブリオコンセプト』を発表した。発表に合わせて、ホンダの伊東孝紳社長が会見を行った。

---:ブリオコンセプトの価格はインドで50万ルピー(約90万円)以下と計画されています。また他社メーカーは50万ルピーを大きく下回る低価格車を既に市場投入しています。ブリオコンセプトはなぜこの価格設定なのですか。

伊東社長:スペックなどを考慮すれば、50万ルピー以下は妥当な価格であり、この価格はインドでは「ストライクゾーンの上限」と考えています。ブリオはインドとタイ市場に投入しますが、市場ごとに作りは異なります。市場ごとに需要が異なり、それに合わせてスペックを作り込んでいるからです。部品の現地調達率はインドが約80%、タイが約90%。この数字をもっと引き上げていけるよう取り組みます。

---:ブリオはアジア戦略車という位置づけですが、新興国向けに徹底することにどのような意義があるのですか。

伊東社長:シティはタイで生産し、販売も好調です。そういう意味では、新興国向け車両の販売が初めてではありません。タイでは政府主導の「エコカープロジェクト」があり、このタイ市場の基準に合わせて車を作ることが必要で、逆に言えばグローバルで一つの車種をそろえることは難しくなっています。各国、各地域のニーズに応えていくことがメーカーの使命です。

---:コストコントロールだけでなく、顧客に共感を得られる製品を展開するという考えもあると思いますが、部品の現地調達率の引上げなどを考えると、個性の創出は簡単ではありません。

伊東社長:今までのコストコントロールの方法が通用しない世界があるということをまず、念頭に置いています。日米欧のスタンダードは新興国ではスタンダードではないということです。今までの概念を捨ててアプローチをする必要があります。

また、インドとタイでは、同じブリオコンセプトでも、作りは違います。タイ市場は「日本連合」のようなものがあり、自動車産業が拡大してきましたが、インド市場はマルチスズキをはじめ、メーカーが独立して市場を開拓してきた経緯があります。そうしたバックボーンがそもそも異なっているため、市場ごとの需要が異なるのは必然です。

現地調達率の向上に向けて、具合的に取り組んでいる事は、例えば現地鋼板メーカーとの協力です。確かにこれまで一緒にやってきた日本の鋼板メーカーにはものすごい技術力があります。しかしインドでは、インドの鋼板メーカーとともに車両を作り上げていきます。インドの材料を使ってインドの人に車を買ってもらい喜んでもらう。ブリオコンセプトでもインド用とタイ用では素材が違うということすらあり得ます。

---:日本のベーシックカーはどうなっていきますか。

伊東社長:日本のベーシックカーは軽自動車である事は間違いありません。ベーシックカーをなんとかしつこく続けていくことが大事です。日本で使う車は日本で調達した材料、部品で作る。地産地消が基本です。市場の中で作り、販売し、雇用も創出するのが原則と考えます。

---:ホンダはこれまでタイやインド市場で比較的高級車志向でやってきましたが、今後はどのような方向を目指しますか。

伊東社長:タタの『ナノ』に代表されるような低下価格化の追求はイメージしていません。今回のブリオコンセプトは上級車から下に降りてきたイメージです。これである意味ホンダは目覚めました。ホンダには「良いものは高い」というイメージがありました。しかしこれからは良いものを知恵を出して安くする。しかもただ安いだけでなく、価値観を持ちながら値段を下げるということです。

---:地域ごとに最適なものを供給するということですが、欧米はどうですか。

伊東社長:先日のロサンゼルスモーターショーでは、韓国勢の勢いを肌で感じました。日本の自動車メーカーが日本国内のメーカーと競っているうちに、韓国メーカーがものすごい勢いで伸びてきたと感じます。しかし韓国勢の勢いには負けません。韓国勢は、日本勢の2、3倍の取り組みをしてきますが、我々はそれ以上の取り組みをします。負けるわけにはいかないのです。

《土屋篤司》

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