福祉車両開発の取り組み…自操式を増やす
自動車 ビジネス
企業動向
![ウェルキャブフレンドマチック車[ウェルドライブ“タイプⅠ”]手動運転補助装置](/imgs/p/mNECeKegOUvqFa6-p0pU_X5Mz0HRQkNERUZH/302041.jpg)
トヨタ「フレンドマチック」、ホンダ「テックマチック」など、下肢の不自由な人が手だけで運転できるタイプが代表的な自操式福祉車両(運転補助装置)だ。両上肢が不自由な人向けのホンダ「フランツシステム」もある。
人は脊髄を損傷すると、損傷した脊髄節から下部(大脳から遠い方)の知覚が失われてしまう。トヨタでは首に位置する「C6」節の損傷が運転可否の境界と考える。
損傷レベルがC6というのは、残存運動機能は「肩の力は不完全」「肘を曲げるのは可能だが伸ばせない」「手首を上げるのは弱い」、日常生活行動では「自助具を用いて食事、書字、髭剃りが可能」「上半身の更衣が可能」という状態だ。
移動・移乗については「ベッドと車いす移乗が一部の人で可能」「運転補助装置付きの自動車の運転が一部の人で可能」。トヨタでは損傷レベルがC6〜C8の人が運転できるように自操式福祉車両を開発しているという。
車いす使用者が自動車を運転する時の困難として、車いすから運転席への移乗、車いすの格納、手動運転補助装置・ハンドルの操作、などが存在し、自操式福祉車両に対策が求められる。
日本の福祉車両の販売台数は、メーカー設定の小型車で年間2万台強。トヨタによるとその8割が介護式で2割が自操式だという。
「欧州では逆に8割が自操式。日本でもそうなるようにしたい」と語るのはトヨタ自動車商品開発本部トヨタ第三開発センターの岩田秀行チーフエンジニア。「すべての方に移動する自由を」というのがトヨタの福祉車両「ウェルキャプ」シリーズのコンセプトだ。
《高木啓》