2008年2月に埼玉県熊谷市内で発生した飲酒運転を原因とする死傷事故の際、運転者の酒酔い状態を認識しながら同乗し、運転を容認したとして危険運転致死傷幇助の罪に問われた48歳と45歳の男に対する初公判が17日、さいたま地裁で開かれた。
起訴状によると、問題の事故は2008年2月17日夜に発生している。熊谷市佐谷田付近の県道を100km/h超の猛スピードで走行していた乗用車が、緩やかなカーブを曲がりきれずに対向車線側へ逸脱。対向車2台と接触・衝突し、3台に乗っていた8人が死傷した。
運転していた35歳の男は泥酔状態。その後の調べで事故前の約5時間に渡って酒を飲み続けていたことが判明した。その後、危険運転致死傷罪で起訴され、懲役16年の刑が確定しているが、事故前に男と一緒に酒を飲み、泥酔状態を知りながらクルマに同乗していた2人ついても「危険運転の幇助に当たる」と判断。異例の起訴に踏み切っていた。
17日に行われた初公判で2人の被告は起訴内容を否認したが、冒頭陳述で検察側は「運転者を含めた3人で別の店に行ったが、まだ開店していなかったことから、運転者が一回りしてこようと提案。2人はこれに応じた」と指摘。2人は職務上の先輩にあたることもあり、「2人が拒否すれば、運転しなかった可能性が高い。止めれば従うことはわかっていた」とした。
これに対して2人の弁護側は「クルマで出発したこと自体を覚えていない」、「酒に酔って寝ていた」と主張。「運転者の泥酔状態を判断できる状況ではなかった」として、幇助の成立を否定している。
また、検察側の証人として服役中の運転者本人が出廷。45歳の被告から「流しに行こうと言われた」と証言している。