「コンシューマー向けナビアプリをLBSビジネスの布石に」…全力案内!ナビ サービス企画担当者

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事業企画本部 島次志氏
事業企画本部 島次志氏 全 12 枚 拡大写真

iPhone向けナビアプリ「全力案内!ナビ」の登場から2年。当初は地図/ナビシミュレーション機能のみの提供だったが、アップルのリアルタイムナビゲーション解禁に伴い、独自のプローブ交通情報(UTIS:Ubiqlink Traffic Information System)を加えたナビゲーションをスタートした。

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その後は、UTISなどの機能をオプションとしてチョイスできるアプリ体系に再構築し、2010年夏にはAndroid版を、同年冬にはWindows Phone版をリリースし、スマートフォンユーザーへの全力案内!ブランドの浸透を図っている。

今回、サービス企画やシステム開発に携わった事業企画部の島次志氏に、これまでのブランディングとサポート体制、今後の展望について聞いた。

◆スマートフォンプラットフォームは企業体質に合っていた

----:ナビアプリの「全力案内!」は携帯電話のサービスでスタートし、2009年にはiPhone向けの地図ナビアプリとして提供を開始しました。携帯電話でサービスしていたアプリベンダーがスマートフォン市場への参入に苦労している中で、全力案内!ナビがスマートフォンで成功した要因はどのような点にあるとお考えでしょうか。

島:(携帯電話)3キャリアの場合は媒体への露出、広告が効く世界です。一方スマートフォンの場合はクチコミが決定的に重要です。App Storeに象徴されるように、利用者の評価がすぐに掲載され、それがアプリの購買に結びつきます。利用者の声を聞いてバグフィックスや機能追加をいかに早く対応するかが勝負です。スマートフォンの市場環境が、当社の体質に合っていたのかもしれません。

----:利用者の要望に対してスピーディに対応するための仕組み作りも徹底しているということでしょうか。

島:開発チームは数ヶ月単位のタームサイクルで改善していく業務設計となっており、スケジュールを固定しなくても柔軟な対応が可能です。目先のことばかりに対応していて、大きなバージョンアップができないとか、あるいは次に控えるバージョンアップのためにバグフィックスが遅れるということは避けなくてはなりませんから。

----:iPhoneだけではなくてAndroidやWindows Phoneへもアプリを提供しています。

島:プラットフォームが増えると開発工数が増えるため、メインテナンスコストも上がり効率が悪くなってしまうというが一般的です。しかし当社では個別が全体システムに阻害せぬよう設計し、アプリ内部で共通管理できる部分を設けることで複数媒体に対してのメインテナンスを容易にしています。

◆LBSビジネスへの布石

----:iPhone版アプリのリリースからおよそ1年半で、Android版のアプリを出しましたが、UI面やメニュー構成など、iPhoneのそのままコピーではなく、オリジナルのユーザービリティを持ったアプリとして登場しました。

島:ユーザーの声を聞くだけでなく、こちらからも積極的に提案しないといいものを作ることはできません。将来的にPNDはスマートフォンに置き換えられていく流れの中で、主流のスマートフォンOSはおそらくAndroidになると目されています。そこでAndroid版では、クルマ利用に重きを置いたUIとしました。iPhone版はシンプル・直感的な操作を最重要視しましたが、AndroidはUIをPND寄りに振っています。

----:提案することで、利用者の反応を聞き、完成度を高めていく。こうした開発の進め方は従来のカーナビメーカーとも異なりますし、ケータイのアプリベンダーとも違います。ユビークリンク立ち上げ時からスマートフォンを意識していたのでしょうか。

島:(野村総研が)この事業を立ち上げた背景には、toCだけでなくtoBの部分でLBS(Location based services)ビジネスが重要なポジションを占めるという考えがありました。ただ位置情報コンテンツについては、エンタープライズよりもコンシューマー向けの方が進んでいます。まずコンシューマー分野でノウハウを積み、それを応用してエンタープライズに持っていく、というのが当初描いていたシナリオです。全力案内!ナビでノウハウ・知見が蓄積でき、さらにスマートフォンが出てきたことで様々な企業から問い合わせをいただいています。

----:Googleが無償のナビアプリ(Google マップナビ)を提供するなど、マネタイズ次第ではコンシューマー向けでも無料アプリが実現する可能性も出てきました。

島:より多くのお客様に使っていただくために、ナビアプリの低額化は選択肢のひとつとして検討すべきポイントです。マネタイズが鍵になりますが、広告ベースのGoogleに対して、われわれはグループの強みを活かしてSIベースでビジネスを成立させていければ、と考えています。

◆ナビアプリも差別化次第でマーケットを確保することは可能

----:iPhoneとAndroidとでは利用の傾向に違いはありますか。

島:iPhoneユーザーは有料アプリを買うことへのハードルがだいぶ低くなってきました。その理由にはApp Storeの使いやすさがあると思います。

----:iTunesなどを利用する際には必ずApple IDに決済情報を登録させようとしますから、一旦登録させると購入の障壁が低くなるというのは実感できます。

島:ナビアプリについては、商品の差別化次第でマーケットを確保することは可能だと考えています。ガイドのノウハウやUI、UTISといった機能はドライバーにとって不可欠な価値になりつつあります。今後もお金を払っていただけるような魅力のあるサービスを提供していければ。

----:PNDベンダーもGARMINやTomTomのような超大手や、地図会社、またワールドワイドでやっている企業はそれぞれの強みを活かして生き残る可能性はありますが、その他は厳しいですね。

島:スマートフォンのナビアプリが出てきたとき、画面サイズが小さい・画面が暗い・センサーがなく自車位置精度が悪い、電池が持たないといったネガがありましたが、現在ではそれぞれの問題はほぼクリアされています。Androidはベンダーがカーナビ専用の端末も戦略的に出せるという点で、魅力的なプラットフォームです。

◆Androidタブレット端末でエンタープライズ分野のニーズを見込む

----:Androidタブレットもさまざまなメーカーから登場してきています。

島:今後の注目は、7インチクラスのタブレット端末ですね。コンシューマーがこれをどれだけ買うかは未知数ですが、企業向けの通信ナビ端末としては需要があるのではないかと思います。7インチまで大きくなれば、地図は見やすくなり、タッチパネルの押し間違いも減りカーナビと同等の使い勝手が実現できます。

----:いまのスマートフォンブームの背景には、フィーチャーフォンに対しての価格的なメリットが大きい。ベンダーとしてはオープンプラットフォームで端末価格も安くでき、キャリアとしてはARPUが上がるから積極的に売るモチベーションになります。

島:ナビ端末は3G通信があくまでも前提です。地図やPOIを端末のローカルストレージ保存にしてほしいという利用者ニーズやご要望は確かにあり、検討にも入れていますが、そこで価格が犠牲になるようだと、重要なところを殺してしまう可能性もあります。また、UTISに代表されるリアルタイムコンテンツはアプリの機能を特徴付けるポイントでもあり、やはり通信ありきで考えていきたいですね。

《聞き手 三浦和也》

《まとめ・構成 北島友和》

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