中古車の印象を決める要素はいくつもある。内外装の劣化やヤレ感はすぐに目につくところだし、走りに関する部分に於いても純粋な走行性能はもちろん、振動や騒音、あるいは内装のビビリ音などに少しでも気になるところがあると、得てして印象は悪くなってしまいがちだ。
それに加えて前のオーナーの気配や匂いも気にせずには居られない。これはヤレ感や性能の低下とはまったく別の話。見ても乗っても古くなった感じはしないのに、何だかしっくり来ないクルマというのは現実にある。実際に原因があったり、あるいは感覚的なものだったり理由は様々だが、いずれにしてもそうなると買う気が萎えてしまう。
そんな諸々の不安を抱えつつ対面したレクサス『RX450h』のCPOは、まず第一印象でほっと安心させてくれた。塗装は艶めいていて小キズのひとつも見当たらないし、何より前のオーナーが居たということなどまったく意識させない。「まるで新車のよう」なんて書くと、いかにもという感じがしてしまうが、それでもやはり、まるで新車のようだと言うのが一番しっくり来る。そんな印象なのだ。
室内に乗り込んでも、そんな印象に変化は無い。ドアのステップ部分、シートのサイドサポートの張り出しなどを見ても、使い込まれたような形跡は皆無。まだ短い走行距離を考えれば当然という気もするが、実際には走行距離を問わず、ダメなクルマはダメなものなのだ。何だかディーラーに用意されている試乗車に乗っているみたい。そんな気分になったのは本当である。
もう、この辺りになると、どんな走りを見せるかも大体予想が出来てくる。実際、そこから走らせてみても気になる部分はまったく無かったと言っていい。粛々と回り、心地良い加速をもたらすV型6気筒エンジンとモーターのフィーリングも、快適な乗り心地も、記憶にあるRXそのまま。試乗の印象を述べていくと、普通の新車試乗記事と寸分違わぬものになってしまいそう。改めて書き記しておくべきことは何も無く、困ってしまうほどだというのが率直なところだ。
取り敢えず「中古車」という言葉から想像するネガティブな何かというのは、その内外装や走りっぷり等々からは、一切感じられない。繰り返しになるが、それは決して、これぐらいの低走行距離なら当たり前という話では無いのだ。しかもレクサスのCPOは、この高い品質レベルを全国どこの店舗で購入しても同じように保っているのだと考えると、改めて唸らずには居れないというのが、試乗してみての正直な印象である。