ゼロスポーツ解雇社員「お先真っ暗」

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(2日・岐阜県各務原市) 撮影=中島みなみ
(2日・岐阜県各務原市) 撮影=中島みなみ 全 2 枚 拡大写真

ゼロスポーツ(岐阜県各務原市)の破産準備公表から10日余り。解雇された従業員80人は、今もショックが癒えないままだ。

同社は1日、約11億7700万円の負債を抱えて破産申請準備に入ったことを公表した。正式に従業員に伝えられたのは、その当日だった。

公表翌日、同社の入口にはいつも通りに営業時間が終了したことを示すメッセージボードが、ガラス扉の内側から掲げられていた。整然とした外観は、普段と同じように見えた。

違いを示すのは、「物件の持ち出しを禁ずる」という代理人の告知だけ。それは、ガラス扉の外側から、メッセージボードに重ねるように貼り付けてあった。その隣には地元金融機関名のものもある。

「不動産だけでなく動産にも担保を設定しているため、それが誤って持ち出されるのことを防ぐため」。金融機関は告知の理由を、そう説明した。

裏手に回ると、数人の社員の姿が見えた。人気のない社屋で、何も手に着かないという様子だ。その中が一人が話した。

「残務整理のために出社した。それも明日まで。それ以降は予定はない。お先真っ暗です」

同社を有名にしたのは、昨年8月の日本郵便との契約だ。ガソリン車のスバル『サンバー』をEV化して、1000台を供給するはずだった。コンバージョンEV製造のノウハウを蓄積して、同社は業界をリードしていた。その強みが、皮肉にも破綻のきっかけを作ることになる。

ゼロスポーツの収益の中心は、話題になったコンバージョンEVではなく、自動車用品開発販売や特装車製造だった。

「カスタムパーツの企画開発販売やゴルフ場で利用する電動カートの製造販売が主力。好況の頃から比べると売上は半分以下に落ち込んでいた。同社の業績が好調だった時期は、自動車産業が好調で中京地区全体が好調だった時期と重なる。急ぎすぎたのではないか」(地元紙記者)

再雇用に名乗りを上げる企業もある。だが、その声がすべての従業員の届くのか。前出の元社員が表情を曇らせた。

「仮にあるとしても、それがパーツなどすべてを対象としたものなのか。それとも環境部門だけなのか。さらに、その中の一握りなのか。いずれにしろ我々には、そんな話は届いていない」

同社が破産申請を岐阜地裁に申し立てたのは、予定より遅れた7日だった。同社代理人は、近くその経緯を説明する予定だ。

《中島みなみ》

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