【新聞ウォッチ】正念場の自動車業界、「輪番操業」構想も急浮上

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2011年3月28日付

●福島第一原発2号機 高濃度汚染水、東電、分析めぐり混乱「ヨウ素1000万倍」と誤発表(読売・1面)

●震災・停電決算を直撃、下方修正続出、発表延期も(読売・7面)

●がれき重い課題、車、貴重品散乱保管判断誰が(毎日・2面)

●東電社長一時ダウン、16日から1週間「過労で職務不能」(毎日・4面)

●フォード工場停止、ベルギー(毎日・5面)

●「国民守る最後の砦」胸に、黙して任務全う自衛隊員、命がけ、米軍を動かした(産経・1面)

●消費低迷「阪神」の2倍超、回復に最低2年(産経・5面)

●給油待ち車内で死亡、練炭で暖?(産経・27面)

●計画停電グループ細分化、きょうから実施(日経・1面)

●円高圧力ひとまず低下、輸出企業の生産落ち込み、円買いを手控え(日経・5面)

●自動車向け鋼板,ロシア大手増産、外資メーカーに売り込み(日経・7面)

●「免許証流された」不携帯でもOK、警察庁、被災地取り締まり柔軟に(日経・31面)

ひとくちコメント

非常事態の中では耳慣れない単位や用語が使われることが多い。放射能物質などの濃度を示す数値の「シーベルト」や「ベクレル」の単位も普段はまったく縁がない。東京電力が実施している「計画停電」もそうだが、そんな中、東日本大震災に直撃され、多くのメーカーが生産休止に追い込まれた自動車業界では「輪番操業」という耳慣れない新たな構想も浮上している。

すでに、朝日が26日付朝刊で報じ、その後各紙も取り上げているが、国内の自動車メーカー各社が、それぞれの工場を曜日ごとに輪番で工場を稼働させたり、休止させるという節電構想を検討しているという。業界全体で生産を控えて、計画停電を回避するのがねらいのようだ。

自動車業界では「鋳造関連の設備で停電前後の準備と保全に時間がかかり、3時間の停電で9時間の生産停止を招く」(毎日)とされており、計画停電中の操業は効率が悪く、しかも電力が常時供給されないと、自動車に必要な半導体の生産は事実上できないとの見方が背景にあるからだ。

難局を乗り切ろうと、業界が一丸となって「輪番操業」に踏み切ることもやむを得ないことだろう。ただ、その構想は「最悪の事態」を回避するための最後の手段としてほしい。きょうの読売が「社説」でも「本格的な復興の道は険しいが、製造業は日本経済の牽引(けんいん)役だ。工場の修復などに全力を挙げ、生産再開を急いでほしい」と指摘している。

また、パナソニックの大坪文雄社長が日経とのインタビューで「原発の問題が起きたから、さっさと逃げようという渡り鳥的な経営が本当にいいのか。そんなことを平気でやる会社を進出先の国の人たちも歓迎しないだろう。危機に際してどう行動するかで、企業の品位、品格が決まると思う」と語っている。

ドームでの試合を強行しようとするプロ野球には反発しても、日本経済の牽引役とされる自動車の工場の稼働率を上げることに異論を唱える国民は少ない。元気な日本になるためにも「輪番操業」という弱腰の発想ではなく、1日も早いフル稼働を願いたい。

《福田俊之》

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