【東日本大震災】光輝顔料メルク社福島工場被災で自動車生産に打撃

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レクサス CT200h ホワイトパールクリスタルシャイン
レクサス CT200h ホワイトパールクリスタルシャイン 全 2 枚 拡大写真

大震災による思わぬ余波が見えてきた。ドイツを本拠とするメルクは、自動車分野では塗料用の顔料を塗料メーカーに供給するグローバルな化学品メーカー。その日本支社の小名浜工場(福島県いわき市)が地震で被災し、操業停止に追い込まれた。

メルクの代表的な製品のひとつが「Xirallic(シラリック)」と呼ぶ光輝顔料だ。これはメルクの日本支社で開発され、世界でただひとつ小名浜工場だけで生産されていたもの。トヨタ車のボディカラー名に「クリスタルシャイン」とあれば、それはXirallicを使ったペイントである。

Xirallicはアルミナを人工的に結晶化した微粉末で、人工パールとも呼ばれる。従来のパール塗装は天然雲母を光輝顔料に使うが、Xirallicはそれより表面が平滑で輝度感が強く、色味の濁りもない。国内ではトヨタだけでなく、ダイハツ、日産、ホンダなどが採用し、海外でも高級車を中心に幅広く使われているものだ。

その供給が震災から止まっている。完成車工場が操業を再開しても、当面はXirallicを使うボディカラーをオーダーするのは難しいかもしれない。自動車メーカーがXirallicを使う新しいボディカラーの投入を断念したとの情報もある。

Xirallicは豊かで上質なカラー表現に欠かせない顔料だ。メルクの小名浜工場が早期に復旧することを期待したい。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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