ヴァージン宇宙船、大気圏再突入モードでの飛行に成功

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ヴァージンギャラクティックSS2、フェザー形態
ヴァージンギャラクティックSS2、フェザー形態 全 3 枚 拡大写真

ヴァージンギャラクティックの宇宙船『スペースシップ・ツー』(SS2)が4日、米モハベ宇宙空港上空で、大気圏再突入時の機体形態“フェザー”(=羽根)での飛行に初めて成功した。史上初の商用有人宇宙飛行ツアーをめざすヴァージンギャラクティックが同日発表した。

SS2・船名「VSSエンタープライズ」は、母船の『ホワイトナイト・ツー』(WK2)・船名「VMSイブ」によって5万1500フィート=1万5700メートル上空まで運ばれ、分離された。分離されたSS2は、尾部を機体中心線から65度上方へ回転させて持ち上げ、大気圏再突入時の“フェザー”形態をとった。

機体は水平を保ちながら、ほぼ垂直に約1分15秒間降下、空気抵抗で減速しながらの平均降下速度は毎分1万5500フィート=4700メール。そして高度約3万3500フィート=約1万0800メートルで機体は通常の滑空モードに変形、分離して11分5秒後に着陸した。

この大気圏再突入の方法はSS2の大きな特徴だ。真空の宇宙から密度のある大気圏への再突入は、宇宙飛行においてもっもと危険な部分のひとつであり、技術的課題となる。機体を開発したスケールドコンポジット社は、機体の空力デザインと物理の法則に従ったシンプルな方法を考え出した。

SS2の宇宙飛行では再突入の前、大気圏外で宇宙船の船尾を上方に回転させる。バドミントンのシャトルコックに似た構成だ。これにより機体の高度と水平姿勢が自然に制御され、また強力な空気抵抗を得られる。

このフェザー形態は安定性が高く、再突入時にパイロットの操作が必要ない。従来の宇宙船ではコンピューター制御にたよる部分である。軽量な機体も減速に貢献し、従来の有人宇宙船と比べ、再突入時の機体表面の温度が低くなる利点もある。

フェザー形態のSS2は再突入後、高度7万フィート=2万1000メートルで船尾を下げ、グライダーとなって宇宙空港の滑走路に戻ってくる。

《高木啓》

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