“見えないものを見えるように”新開発の画像処理LSI…イクリプス AVN-Z01/V01

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品
富士通テン イクリプス AVN-Z01
富士通テン イクリプス AVN-Z01 全 9 枚 拡大写真

富士通テン イクリプスの2011年夏の新型カーナビゲーション『AVN-Z01』『AVN-V01』は、これまでのHDDモデルに代わるフラッグシップモデルとして登場した。大容量のストレージが必要なユーザーのために従来のHDDモデルもしばらくは併売となるが、今後はSDメモリータイプのナビへとシフトしていくという。

16GBの地図SDメモリーにワイドVGA液晶、エコ運転サポート機能の追加など話題も豊富なZ01/V01だが、他社製品との差別化という点で目を引くのは直射日光補正機能を備えたLSI「ヴィヴィッドビュープロッセッサ3(Vivid View Processor 3:VVP3)」を新たに搭載したことだろう。

これまでヴィヴィッドビュープロッセッサおよびヴィヴィッドビュープロッセッサ2は、ディスプレイ表示の鮮鋭感や色合いを判断し,最適な補正をおこなって映像品質を高める高画質化映像処理技術だったが、この制御をさらに進化させて直射日光が当たった際の視認性を向上させる機能を盛り込んだ。

この機能は、周囲の環境光に合わせてバックライトの照度を切り替えるという単純なものではなく、明るさの領域も明暗差を拡大できるようにする「局所補正」、暗い領域の階調でつぶれが生じにくい明るい階調に移す「階調補正」、色の薄まりを抑制して鮮やかにする「彩度補正」を組み合わせてリアルタイムに制御する。

このVVP3について、富士通テン CI本部技術統括部の井尻明宏氏は「直射日光で見えなくなってしまったものを見えるようにする」ことで、安全面で効果を発揮すると説明する。

「運転中、ドライバーはナビの画面を直視できないので、一瞬で判断できるように情報提供することが重要。たとえばバックの際に、建物などの影で見えなくなった人や障害物を発見しやすくしたり、交差点に差し掛かって“ここで曲がるのかどうか”をとっさに判断できるようになる。大事な局面で直射日光のために画面がよく見えない、という状況を防ぐことを第一に考えた」(井尻氏)。

補正制御はドライバーが違和感を感じないように無段階に調整される。「ドライバーは補正に気づかないかも知れないが、比較すれば見やすさには歴然とした差がある。補正をやり過ぎてしまうと表示されるものの正しい色や形が伝わらなくなるので、いかに自然な形で見せるかの調整が難しかった」と井尻氏は説明する。

こうした高度な制御をするためには専用のLSIが必要とのことで、画像処理では富士通研究所の協力を得、チップ開発については富士通セミコンダクターと共同でおこなうなど、グループの強みを活かすことで独自の商品企画を実現した。

今後は「自動車分野への普及はもちろんだが、将来的には携帯電話などのモバイル機器などへも展開できれば」(井尻氏)とのことだ。

《北島友和》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  2. これで公道走行可能だと? BMW『M2 トラック・パッケージ』がニュルに出現!
  3. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  4. クラシックな雰囲気が人気! ダムドの『ハイゼット/アトレー』向けカスタムボディキットに新作アイテム3点が登場
  5. 次期BMW『X5』の車内を激写! メーターパネル廃止、全く新しいパノラミックiDriveディスプレイを搭載
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る