【マツダ デミオSKYACTIV 発表】EGRクーラーでノッキング対策

自動車 ニューモデル 新型車
マツダ デミオに搭載されるSKYACTIV-Gエンジン
マツダ デミオに搭載されるSKYACTIV-Gエンジン 全 6 枚 拡大写真

以前マツダが開催した「SKYACTIV G」エンジンの技術説明会では、14という高圧縮比を実現するための採用技術には、キャビティ付きピストンやマルチホールインジェクター、それに4-2-1レイアウトのエキゾーストマニホールドの、3つが挙げられていた。

キャビティ付きピストンやマルチホールインジェクターにより燃料のもつエネルギーを最大限に引き出すと同時に、排気側のバルブタイミング可変機構と組み合わせた4-2-1レイアウトのEXマニホールドによって、残留燃焼ガスによる燃焼室温度上昇を抑える、というのがブレイクスルー技術だったのだ。

ところが、その搭載第1号となる改良型『デミオ』では、4-2-1のEXマニホールドは採用していない。

というより採用できなかった、と書く方が正しい。既存のプラットフォームを流用する新型デミオに新型エンジンを搭載するには当然、制約もある。スペースの関係でどうしても4-2-1レイアウトのEXマニを採用することができなかったのだ。そこでデミオの開発陣はEXマニで残留排ガスを効果的に抜くのではなく、別の方法でノッキング対策を施すという新たな挑戦を強いられたのである。

その結果、採用されたのがコールドEGR。EGRとは排ガス再循環装置のこと。コールドEGRは排ガスの温度を下げてから再び燃焼室へと導くことで、EGRの量を増やしながらも燃焼温度の上昇を抑えることができる。実際には触媒以降の排ガスの一部を取り出し、水冷式インタークーラーのようにエンジンの冷却水を利用して排ガスを冷やしてからスロットルボディにまで導いている。

EGRを増やすことでスロットルバルブの開度を開いてポンピングロスを減らすことができるだけでなく、吸排気バルブの開いている時間を増やして燃焼室内の熱い残留燃焼ガスを追い出す効果も狙ったのだ。

パワートレイン開発本部長である人見光夫氏によれば、これによって4-2-1レイアウトのEXマニを採用することなく、同等の効果を達成することができたと言う。

EXマニのレイアウト変更をするにはバルクヘッドやセンタートンネルの形状をわずかに変更すれば済むのでは? なんて思うのは素人の浅知恵らしい。「いやいや、実際にデミオのEXマニを変更しようとすれば、もうペダルレイアウトのやり直しからですから、とてもマイナーチェンジではやれません」(人見氏)。

ともあれ、デミオの開発陣はこうして難題をクリアして、新たなブレイクスルーを実現したのである。

《高根英幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ショッピングセンターに320台の名車・旧車が大集結…第5回昭和平成オールドカー展示会
  2. 『V』クラスより上級のミニバンか? メルセデスベンツが2026年に『VLE』『VLS』導入へ…上海モーターショー2025
  3. 「通勤とか買い物にちょうどよさそう」オシャレ系特定小型原付『ウォンキー』にSNSでは反響
  4. 日産がエルグランドなど新型4車種投入へ…NISSAN START AGAIN
  5. 【VW ゴルフGTI 新型試乗】自動車を運転することが楽しかった時代に引き戻される…中村孝仁
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 東レ、偏光サングラスでの利用を可能にする新たなHUD技術を開発…フロントガラス全面展開も視野に
  2. AI家電を車内に搭載!? 日本導入予定の新型EV『PV5』が大胆なコンセプトカーに
  3. 住友ゴム、タイヤ製造に水素活用…年間1000トンのCO2削減へ
  4. AI導入の現状と未来、開発にどう活かすか? エンジニアの声は?…TE Connectivityの独自リポートから見えてきたもの
  5. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
ランキングをもっと見る