【トヨタ プリウスα 試乗】乗用ミニバンパッケージが基本…青山尚暉

試乗記 国産車
トヨタ プリウスα
トヨタ プリウスα 全 6 枚 拡大写真

『プリウスα』は実は7人乗りの乗用ミニバンが真の姿だ。5人乗りのワゴンが用意されているが、あくまでもミニバンの3列目席を取り払ってワゴン化したものにすぎない。何しろ開発時のベンチマークは先代『ウィッシュ』なのである。

『プリウス』と同じ、2モーターのハイブリッドシステム=リダクションギヤ付きTHSIIを搭載するプリウスαだが、燃費性能は現時点でミニバン最上だとしても、経験上、乗り心地は手放しで褒められない。コスト重視やエコスペシャル化によって、乗り心地面が犠牲になったプリウスのシャシーの悪癖をそのまま受け継いでしまった。

意外なのは基本サイズの16インチより、ツーリングセレクション以上の17インチタイヤ装着車のほうが乗り心地、静粛性に優れる事実(プリウスファミリーベスト)。一般的には逆だが、転がり抵抗重視の硬いトレッド面を持つ16インチの乗り心地が相対的に悪くなりがちなのが時流なのだ。

ところで、プリウスαが登場した背景には「プリウスには積めない荷物を積みたい」、「犬を乗せたい」などといったプリウスユーザーの声があったからにほかならない。なにしろ大型犬を飼っているトヨタ首脳の「プリウスじゃクレート(犬を運ぶ箱)が荷室に乗らないじゃないか」という号令もあったとか。

個人的にプリウスαは7人乗りにこそより大きな存在意義、価値があると思うのだが、多人数乗車を必用としないユーザーで、しかし大きな荷物や犬といっしょにより快適にドライブしたいというなら5人乗り=ワゴンである。

バッテリーが7人乗りのリチウムイオンでなくニッケル水素にはなるが、実用面での差はほとんどない。ドライブモードをエコモードにすれば燃費にも、愛犬にも優しい穏やかな走りとなる。

問題は、荷室フロアが地上700mm(実測では730mm)もあり、重い荷物の出し入れや犬の乗降にやや難あり、という点だ。が、プリウスにはないワゴンならではの大容量の荷室空間を備えているのは事実。飼い主が抱きかかえられる体重の中小型犬なら問題はなく、クレートも積みっぱなしなら不便はないはずだ。

重要なのは、繰り返しになるがプリウスには乗せられない大きな荷物が積め、キャビンに4~5人の乗員が乗ったとしても、愛犬を(荷室に)乗せられるということだ。そうした使い方をするなら、3列目席を格納したときにフロアが前上がりになってしまう7人乗りより、フロア全体が完全フラットになる5人乗りのほうがいい。

ちなみに市街地の実走テストの結果、『フィットシャトル』と実燃費は拮抗していた。プリウスと『インサイト』との間のような差はない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。オーディオ評論、ペット(犬)、海外旅行関連のウェブサイトも手がける。

《青山尚暉》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  3. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  4. BMW、カーボン素材を天然繊維複合素材に置き換え、量産車に採用へ
  5. トヨタの顧客は1億5000万台…バリューチェーンで財務基盤強化
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る