衝突実験では数十から場合によっては数百チャンネルものセンサーを搭載したダミー人形が欠かせない存在だ。トヨタでは、さまざまな衝突実験のために21種類、200体ものダミー人形を用意している。
自動車を運転、または乗車する人の年齢や体型は千差万別であり、妊婦や胎児といった存在も考慮する必要がある。21種類も用意しているのは、自動車アセスメントや各国NCAPで利用される標準的なダミーだけでいくら高い数値を出しても「それは、入学試験の成績のようなもので、本当の実力とは違うのではないか」(トヨタ広報部)との考え方からだ。
写真にあるいくつかのダミーはトヨタ独自に開発したものも含まれる。例えば、小柄な成人女性を想定したダミーや、歩行者の安全性を確保するためのダミーなどがそうである。歩行者ダミーは、直立した形で自動車を実際にぶつけた場合の衝撃やダメージを計測する。
また、ダメージを正しく計測するため、ダミーのメンテナンスも重要だそうだ。正しい強度や動きをするようにダミー自体のテストや調整も専用の設備や工具で、プロフェッショナルが行っている。