【インタビュー】ホンダジェット藤野社長…外寸は小さく、性能とキャビンは上のクラス

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ホンダ・エアクラフトカンパニー・インコーポレーテッド
ホンダ・エアクラフトカンパニー・インコーポレーテッド 全 13 枚 拡大写真

7月12日と13日、米ノースカロライナ州グリーンズボロ市にあるホンダ・エアクラフト・カンパニーの『ホンダジェット』生産設備が内外記者団に初公開された。ホンダ・エアクラフトカンパニー・インコーポレーテッドの藤野道格社長にインタビューする。

Q:ホンダジェットの特徴は?

藤野 ホンダジェットは(ライトジェット)クラスで一番小さい領域のサイズですが、性能やキャビンのサイズは上のカテゴリーを実現したことが最大の特徴です。

なぜそれが出来たかと言えば、一つは主翼の上にエンジンを付けることで胴体・機体のサイズを大きくすることなくキャビンの中を最大限に使えたからです。言い換えると、今のビジネスジェットは全てエンジンが胴体に直接付いているので、胴体後部の大半にエンジンを取り付けるための構造部材やエンジンに纏わるシステムが占めてしまいますが、エンジンを主翼上にマウントしたホンダジェットでは、その分の胴体の容積をキャビン、トイレ、荷物室など様々な用途に利用できてるということです。

キャビンスペースのイメージでいえば、このクラスの対座シートでは足元が向かい側の人と重なるのが普通なのですが、ホンダジェットは足元も充分な広さを確保できたことで互いの足が重なることはありません。実際に乗ったお客様からも皆さままず「広い!」というコメントを頂きます。荷物室に関しても、ビジネスジェットは色々なシステムを装着した後に荷物室を設計するのが一般的で、結果として小さなカーゴスペースが数か所あるという恰好になり、大きな荷物は搭載できないことも多いのですが、ホンダジェットの場合はその部分に何もないので1か所に大きなスペースを設ける事が出来ます。米国ではプライベートジェットを、ビジネス以外では遠くのゴルフ場に行く際に利用されることが多く、「ゴルフジェット」と呼ばれることもあることから、6個の大型ゴルフバッグを積めることも設計要件にしています。

もうひとつの特徴はユニークな形状の翼と胴体です。空力的に抵抗を最小限に抑える技術を開発し、スピードと燃費を両立させたところは他の小型ジェットと比べて優れている点だと思います。また機体のサイズを大きくしていないので、重くもならず抵抗も増えないので高速で飛行する事もできるというわけです。

主翼の断面は「自然層流翼」と呼ばれる形状で、層流(空気の流れ)を長く保ちながら抵抗を下げる効果があります。主翼の上にエンジンを付けることで、高速時に主翼に受ける衝撃波を抑えると共に抵抗も減らすという空力上のメリットもあります。またコックピットの部分が半球状になったユニークなノーズの形状も、抵抗を減らす目的での設計です。また、胴体には複合材、一般にはコンポジット材と呼ばれますが、カーボングラファイトの繊維に樹脂を含浸させたプリプレグを積層して一体成型したことで軽量ながら強度も高く、内部容積の広いキャビンを実現しています。

最高速度は420ノット(780km/h)、最高飛行高度4万3000フィート(1万3100m)と従来の旅客機よりも高高度での飛行が可能です。最高速度が同級他機よりも30〜40ノット(55〜75km/h)と圧倒的に速いところ、そして先に述べたキャビンおよび荷物室の広さが同級他機に比べ20〜25%広く、近年では燃費が良くなっている最新の他機体と比べても15〜20%もの高燃費を実現したことは、ホンダジェットの大きなセールスポイントです。

Q:生産体制に関して教えてください。

藤野 年間生産機数は70程度です。残業なども含めてフル操業をしても上限は100機。1号機の生産には8か月くらいかかってしまいますが、3年後を目処に最終的には1機当たりの生産日数を3か月以下とすることを目指します。

《ケニー中嶋》

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