【ホンダ フィットシャトル 試乗】フィットとは別物の走り…松下宏

試乗記 国産車
フィットシャトル
フィットシャトル 全 9 枚 拡大写真

『フィット』のステーションワゴン版として登場した『フィットシャトル』は、センタータンクレイアウトを採用した基本プラットホームからインパネデザインまで、フィットとの共通点の多いクルマだ。

でもフィットの相違点もいろいろあって、ノーズ部分を伸ばし、リヤにも大きなラゲッジスペースを持つ外観デザインや、装備の充実度などはフィットの水準を超えている。

それ以上に違うのが走りの質感で、快適性や静粛性の高さはフィットとはまるで違うクルマという印象だった。名前こそ大ヒットモデルのフィットを使っているが、走りは全くの別物と言っても良い。フィットでも昨年秋に追加されたハイブリッドは走りが良くなっていたが、フィットシャトルはそれを上回る走りの質感を備えている。

フィットシャトルのパワーユニットは1.5リットルのガソリンエンジンと1.3リットルエンジン+電気モーターのハイブリッドの2種類がある。圧倒的に良く売れているのはハイブリッドで、時代性を反映した売れ行きだ。価格はやや高めだが、燃費や税制を考慮に入れると実質的な価格差は小さなものになるから、ハイブリッドが売れるのは当然である。

走行中は基本的にエンジンが回っているのがホンダのIMA方式ハイブリッドの特徴で、必要に応じて電気モーターがアシストする。停車中はエンジンが停止するのでしんとした静かな室内になる。この静かさや快適性、フィットハイブリッドと同じ30km/リットルを達成した燃費の良さなどが特徴だ。

フィットシャトルでは、EV走行が可能な領域を広げられた。といっても発進時にモーターだけで発進したり、ドライバーの意志で自由にEV走行モードに入れられるわけではないのだが、走行中にうまくアクセルを緩めると比較的簡単にEV走行に入る。

1.5リットルのガソリン車は、ハイブリッドに比べて走りに余裕というか力強さが感じられるほか、電池を搭載しない分だけラゲッジスペースの床下に大きな空間が確保される。しかもダブルヒンジ構造のリバーシブルフロアボードという優れモノの仕様によって多彩な使い勝手を実現できるのが良い。 ハイブリッドの販売比率が高いのは理解できるが、1.5リットル車も案外捨てたものではないことを指摘しておきたい。

ホンダのインターナビは、今回のフィットシャトルから、全車(「15C」と「HYBRID-C」ではインターナビを選択できない)にリンクアップフリーが適用されるようになった。常時接続の通信機器が装備され、その接続料が無料となる。最新の渋滞情報がリアルタイムで手に入るなど利便性が高い。オプションで装着する場合には30万円近い価格になるので判断が難しいが、予算の手当てが可能なら、オプション装着も含めてナビ付きを選ぶのが正解だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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