東日本大震災をきっかけに、社会実験の半ばで廃止された感のある高速道路無料化だが、その旗は完全に降ろされたわけではないようだ。2日の初閣議後会見で前田武志国交相は、こう話した。
「やっぱり被災を受けた東北でいちばんのインフラとなる高速道路をもっと使いやすい形にすることが復興に繋がる。大畠前大臣と同じ方向です」
東北地方の高速道路の無料解放は、トラックなど中型車は8月末で打ち切られたが、被災地域の住民を対象とするものは続いている。今後、国交省は全車種を対象とした東北地方の無料開放を第三次補正予算の中で実現していく予定だ。
一方で高速道路全体の無料化について、民主党は8月9日に自民党、公明党と政策の方向性について三党合意を交わした。その中には「高速道路無料化については2012年度予算概算要求において計上しないこととする」とある。だが、13年度について前田氏はこう話す。
「来年度については三党合意。その先については三党で話し合いを進めるわけですから、当然、理解されることだと思います。三党合意は来年度のことで、それ(2013年度について議論すること)は三党合意と矛盾するものではない」
高速道路のあり方については、大畠前国交相のもとで発足した「高速道路のあり方検討有識者委員会」が議論を詰めている最中だ。無料化の方向性は、ここにも影響される。この先、上がるのか下がるのか。高速道路料金は政治に翻弄されている。