BASFのカラートレンド予測…艶消し塗装に日本でも引き合い

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つや消しの例:群馬トヨタ RV-Park/トヨタFJクルーザー(2011年、東京オートサロン)
つや消しの例:群馬トヨタ RV-Park/トヨタFJクルーザー(2011年、東京オートサロン) 全 4 枚 拡大写真

BASFが10月5日に発表した「2〜4年後」のカラートレンド予測のなかで、注目したいのが艶消し塗装だ。

ナチュラルな印象に人工的な味わいを加える“Complex Simplicity”(精妙なるシンプルさ)のトレンドテーマでは、例えばアジア太平洋地域向けに艶消しのダークブラウンを提案。定番色を柔軟に進化させるIntuitive Logic(直感としてのロジック)のトレンドテーマでは、欧州向けに艶消しのターコイズ(ブルーとグリーンの中間)が提案された。

また、同時に発表されたモーターサイクル向けのカラートレンドでは、先進国の大型バイク向けに、ホワイトやシルバー、さらに有彩色でも艶消し塗装が増えるとのトレンドが示唆されている。

艶消し塗装は、普通ならクリア塗料を使うトップコート(塗膜の最上層)に、艶消し材を含む2液性のウレタン塗装を施すもの。その性状により、トップコートの手触りを滑らかにもできるし、ザラザラした質感にもできるというのが、艶消し塗装のひとつの特徴だ。

欧州の自動車メーカーでは艶消し塗装の設定が少しずつ増えており、先日のフランクフルトモーターショーを見ても艶消しのトレンドは明らか。しかし日本車ではまだ実用化されていない。懸念されるのは耐久性や補修性だ。

トップコート表面の微細な凹凸により艶を消すわけだが、洗車を繰り返すなどで凹凸が削られると艶が出てしまう。モーターサイクルではタンクのニーグリップ部がライダーの膝で擦られて艶消し効果が消えることもあるという。また、塗装ラインでゴミが混入したとき、通常のクリアのトップコートなら部分的なタッチアップで補修できるが、艶消し塗装は例えばドアであればドア1枚を丸ごと塗り直さねばならない。

筆者がこれまでに取材した範囲では、こうした懸念のために日本の自動車メーカーは艶消し塗装の採用に消極的という印象があったのだが、BASFによれば「日本の自動車メーカーから艶消し塗装の引き合いが増えている」とのこと。量販モデルで普通に艶消しが選べるようになるにはまだ制約が多いが、特別仕様車などで艶消し塗装が設定される日は遠くないようだ。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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