BASFコーティングスジャパンは毎年、2~3年先の世界のカラートレンド予測を行っており、先ごろ今年のテーマが発表された。
「今年のテーマは“Come Closer”。そのまま日本語に訳すと“ちょっと近くにおいでよ”というイメージ」というのはカラーデザインセンターアジア・パシフィックグループマネージャーチーフデザイナーの松原千春さん。
「過剰な情報に翻弄され、正しい情報を得ることが困難になっている現代、物事の本質を知るには、近づいたり、引いたりして観察や認識することが重要であり、さらに視点を変えることで、新しい発見があるというメッセージが込められています」という。BASFコーティングスは日本以外に北米、ヨーロッパの3地域にデザインセンターを持ち、その3地域それぞれがトレンド分析したものを持ち寄り、世界のトレンドを決めたもので、それが今回のテーマ、“Come Closer”である。
この“Come Closer”という大きなテーマのもとに6つのグループが作られた。大きく2つに分かれ、ひとつはグローバル共通のコンセプトで、“精妙なるシンプルさ”、“集合体としての個人” “直観的な論理”というテーマ。
“精妙なるシンプルさ”は、「原始的な価値観、シンプルな価値観を現代に持ち込むというテーマで、例えば木の色とか海の色そのままではなく、それを現代風にちょっとアレンジしたもの」。“集合体としての個人”は、「個性も大事だが、つながりやコミュニティもうまくやっていくというもの。個人の感情の内面的なところもあるので、割と色としては中間色でデリケートな微妙な干渉効果もあるといった色がある」。“直観的な理論”に関しては、「ただ人工的なだけではなくて、感覚に訴えるところ。もちろんグレー系といった色が技術的な未来感とがあるところが多いが、少し柔らかめの未来感のある、または光の色を表現したものなどを提案しました」。
そして、もうひとつはそれぞれの地域別のカラートレンドである。アジアパシフィック地域では“魅惑的な期待”、北米では“確信のない信奉者”、ヨーロッパでは“デリケートな探究”というテーマのもと、各地域独自のカラートレンドが予測された。