【アウディ A6 試乗】超一流ホテルのホスピタリティ…青山尚暉

試乗記 輸入車
『A6』 3.0TFSIクワトロ
『A6』 3.0TFSIクワトロ 全 27 枚 拡大写真

リッツカールトンに象徴されるような超一流ホテルのホスピタリティ。アウディの新型『A6』に乗ってまず思ったことがそれだ。国産高級サルーンが国内資本のよくある平凡な、シティーホテルのランクに思えてしまう。

試乗した3.0TFSIはクワトロシステム=4輪駆動でもあって、ベース価格835万円、あれこれホテルサービス的にオプションを付けていくと1000万円級の高額車になるから当然とも言えるが。いや、ベース車両(ナビ、本革シートなど標準装備)でもアウディのホスピタリティは究極である。

乗り味は極上のスポーティーテイストだ。オプションの20インチタイヤを履いているためステアリングの反応は極めてビビッドでリニア。ノーズの動きは一流ホテルマンの動作のように機敏で優雅。乗り心地はたしかに硬いけれど、段差、うねり路を越えれば分かるように、恐ろしくスムーズ。快適で心地良い。硬さとスムーズさが高度なチューニングによって両立できることを教えてくれる。

3リットルエンジンはスーパーチャージャー付き。V8・4リットル並のトルク、強烈な速さをこれまたとんでもなく上質に、スムーズに発揮する。7速Sトロニック=デュアルクラッチの変速の速さ、滑らかさもまた超一流である。アイドルストップの停止、始動時のマナーの良さ(音、振動のなさ)もしかり。

ホテル・ホスピタリティは例えばドアマンに開けてもらいたくなるようなドアの重厚な開閉感、スイートルームの調度を想わせる本革シートのデザイン、縫製、掛け心地、後席用のエアコン調整&4か所もの吹き出し口の装備、夜間エンジンオフ時の周囲足元照明、そしてバックギアに入れたときオーディオのボリュームが自動的に小さくなる、エンジン始動直後にパワーシートを操作するとその使い方がナビ画面に表示されるなどの、仕立て、装備、微に入り細に入りの心遣いにも表れる。

今、アウディが世界的に急成長している事実、日本でも多くのクルマ好き著名人に愛されている理由は、最新のアウディのステアリングを一度握ってみれば、シリーズを問わず理解できるに違いない。メルセデスでもBMWでもレクサスでもない奥ゆかしい選択でもある。価格対満足度という点では2.8FSIクワトロのバランスがいい。価格は610万円で、ライバルと比較したときの値ごろ感も強まる。

そうそう、『A6』のペットフレンドリー度だが、わが家の庶民犬ラブラドールレトリーバー、マリアを乗せるにはあまりにも高級すぎる(値段とは別の意味である)。先日、マリアは箱根のハイアットリージェンシーの「リージェンシーエグゼクティブスイートドッグフレンドリールーム」(長い名前だ)に泊まって「高級すぎて緊張したワン」と言っていたのと同じ感覚かもしれない。

同じ『A6』でもアバント(ワゴン)の新型、そのラゲッジルームなら、マリアでもそれほど緊張せず、リラックスしてドライブが楽しめると思うんですが…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
ペットフレンドリー度:★

青山尚暉|モータージャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイトも手がける。ドッグライフジャーナリストの肩書も持つ。

《青山尚暉》

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