【東京モーターショー11】燃料電池車もすでに“リアル”…22世紀に向かうトヨタ

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エコカー3台が揃い踏み。手前から燃料電池車、EV、プラグインハイブリッド車(東京モーターショー11)
エコカー3台が揃い踏み。手前から燃料電池車、EV、プラグインハイブリッド車(東京モーターショー11) 全 7 枚 拡大写真

東京モーターショー2011会場の中で異彩を放っているのは、展示面積が最も広いトヨタ自動車ブースだ。

まずはブースデザイン。東京モーターショーに限らず、世界のモーターショーのブースデザインといえば、社名やブランドシンボルをブースに大々的に掲げるのが“世界標準”だが、トヨタブースにはそれがない。入口のディスプレイに控え目に「TOYOTA」の文字とマークが映し出されているだけだ。

ブランドロゴかわりにブース各所に配されているのは、巨大な赤リボンをかたどった看板。中には生まれ変わりを意味する「RE BORN」の文字が。床には人工芝が敷き詰められ、奥には実写版の製作で話題となっているドラえもんのキャラクターが、漫画の中で描かれている裏山の中に置かれている。ブース全体が巨大なジオラマなのである。

そのトヨタブースのメインステージに1列に置かれているのは、最新の電気利用技術が投入された3台のエコカー。ブース入口に一番近いところにあるのがこのほど受注を開始したプラグインハイブリッドカー『プリウスPHV』、2番目が『FT-EV III』、さらにその先には燃料電池車『FCV-R』が置かれる。今日から将来に向けての環境技術の進化の方向性を表現しているのだ。

トヨタのブース担当者は、それらのエコカーがすべて空想ではなく実現の段階に来ていることを訴えかけたいと語る。

「PHVは性能、コストともコンシューマー向け商品として成熟しつつあり、EVも電池の性能やコストなど課題はあるものの、市販は十分可能な段階に達しています。しかし、そればかりではありません。燃料電池車も、基礎研究の分野では世界が産学協同で頑張っている一方で、小型化や白金使用量の削減などの実用化技術ではすでにメーカー同士の競争が加速しているんです。以前は遠未来技術と言われていましたが、それが意外に早まるかもしれない。ブースの燃料電池車FCV-Rは、未来風ではありますが、普通に道路を走っていても変ではないデザイン。燃料電池車までもが今や現実のものだということを表現したいと思って、市販車風のデザインを与えてみたのです」

ドラえもんは22世紀からやってきたという設定の物語。我々の多くはその22世紀を見ずにこの世を去ることになるが、それでも数世代後にはもうそんな時代を迎えることになる。そのときにモータリゼーションは、子供向けの図鑑に出てくる未来都市のように今とは全く異なるものになっているのか、それとも意外に今日と見た目は大きく変わらないのか。そんなことに思いを馳せながら、トヨタの未来技術の数々を見て回るのも面白そうだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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