【トヨタ 86 発表】スポーツカーは薀蓄と遊び心だ

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トヨタ86と豊田社長
トヨタ86と豊田社長 全 6 枚 拡大写真

トヨタ『86』のデザインコンセプトは“ネオ・ファンクショナリズム”である。

デザイン本部トヨタデザイン部グループ長の古川高保さんは、「ネオ・ファンクショナリズムというとかっこいいですが……」と笑いながら、「要は、“低く、楽しく、美しく”。これしかないと思いました。本当にクルマ好きの人に、低いクルマで、楽しく運転して、美しいと思ってほしいのです」と話す。

しかし、この“美しい”という言葉は当初、“官能”という言葉を使っていたが、女性には抵抗があるかもしれないという気遣いから変更した。

「普遍的な官能美とか、造形のきれいなところがあると思うのです。そのあたりは社長からもよく言われまして。社長からは、“いつまでも愛されるクルマをデザインしてほしい”と宿題を出されました」

「次いで、“スポーツカーは薀蓄と遊び心だ”と。そういうキーワードを社長からもらって、自分たちもさらに考えて、あちらこちらに仕掛けを入れました」(古川氏)。

その例として、「普通スポーツカーのフロントグリルはメッシュがハニカムパターンやクロスメッシュなどでしょう。しかし、実はこのクルマ、トヨタの“T”字型になっているのです。要は日本の独創的なデザインである、欄間や家紋などの幾何学的なモチーフをうまく使って、トヨタのTをうまく使ってみようとトライしました」。そして、それを外観で表現したので、内装も統一した。「そういうところがこだわりや遊び心なのです」。

インテリアを担当した、デザイン本部トヨタデザイン部グループ長の遠山正起さんも、「メーターの中の模様は、フロントグリルのモチーフを取り入れています。他にも、ヒーターコントロールの周りや、シートの背中の部分の一部、助手席前のパネルなどで表現しており、これは、このクルマのひとつの統一性。走行とは関係のない、遊び心です」。他にも、マフラーの内径は“86”パイで、開口部のデザインはシフトハウジングと同じモチーフとなっている。

遠山さんは、「デザイナーとしては、スポーツとして重要なところは押さえながら、こういった遊べるところで遊ばせてもらいました。苦労はありましたが、楽しんで作ることが出来ました」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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