【トヨタ アクア 試乗】プレミアムコンパクトと呼んでいい…森口将之

試乗記 国産車
トヨタ・アクア
トヨタ・アクア 全 6 枚 拡大写真

「安くて燃費がいい」のひと言でこのクルマを片付ける人もいるけれど、僕はこの『アクア』、ハイブリッド感丸出しの個性派コンパクトカーだと思った。

『プリウス』に比べると、アトキンソンサイクル採用のエンジンは排気量が1.8リットルから1.5リットルになり、バッテリーやモーターも小さい。ゆえにいい燃費を出せるゾーンが限られている。僕も最初の試乗車では25km/リットルしか出なかったが、コツを掴んだ2台目ではほぼ同じコースで33km/リットル出た。「アクア乗り」をマスターすれば35km/リットルも夢じゃなさそう。

トヨタとしては、誰がどこで乗ってもいい燃費が出るクルマを目指していたはず。エンジニアたちはそう語っていたし、フツーに乗っても25km/リットル出るからそれは達成されているのだが、アクアはそこで終わっていない。奥が深いクルマなのだ。

市街地でチェックした限りでは、ハンドリングもハイブリッドカーらしさ満点。ターンインはおっとりしているけれど、その後は低重心を生かしてするっと曲がる。軽量ボディに対してフロントのパワートレインとリア床下のバッテリーが重いことが、手に取るように分かる。好き嫌いは分かれそうだが、かなり新鮮であることはたしか。

デザインにも同じことが言える。とくに斜めのラインや細いアクセントカラーでメリハリを出したインパネは、従来のトヨタ的演出とは完全に別物。フランスやイタリアのコンパクトカーのような爽やかさを感じる。無理に高級に見せたりせず、安いクルマだからと諦めるのでもなく、限られたコストの中でカッコよく見せようという姿がいい。

もちろん価格は『ヴィッツ』に比べれば高いけれど、燃費以外でもその価格を納得させる部分がたくさんある。これはプレミアムコンパクトと呼んでいいのではないか。短所を消すのではなく長所を伸ばしたクルマ作りに好感が持てた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。

《森口将之》

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