有機薄膜太陽電池が変換効率10.6%を達成---世界トップクラス

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単セル、タンデムセルの構造
単セル、タンデムセルの構造 全 1 枚 拡大写真

住友化学が開発した材料を使用してカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のヤン・ヤン教授が作製した有機薄膜太陽電池の変換効率が、米国の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)から世界トップレベルの10.6%を達成したと認定されたと発表した。

NRELは、太陽電池の分野で世界的に有名な研究所で、太陽電池の性能を評価して公式に認定する機関。

有機薄膜太陽電池は、軽量で薄く、フレキシブル化が可能なため、次世代の太陽電池として期待されている。印刷法により大面積のセルを連続して製造できるため、現状主流であるシリコン系太陽電池と比較して製造コストを安く抑えられる。

今回作製された有機薄膜太陽電池は、吸収する波長範囲が異なる2種類の光電変換層を組み合わせることにより、広範囲の太陽光エネルギーの利用が可能となる「タンデムセル構造」を採用した。単セル構造と比べて高い変換効率が得られる。ただ、吸収波長の異なる材料の組み合わせや中間層の材料によって性能が大きく異なる。

今回の10.6%という変換効率は、UCLAの短波長吸収型材料と電気的損失を最小化する中間層材料、住友化学の高効率の長波長吸収型材料の組み合わせにより達成した。

同社は、現在事業化に向けて注力しているディスプレイ・照明用途の高分子有機ELに関連する技術を応用し、有機薄膜太陽電池の開発を進めている。高分子有機EL、有機薄膜太陽電池とも共役系高分子が材料の効率向上の鍵を握っている。同社はこれまでの高分子有機EL材料の開発やデバイス開発で培ってきた高分子材料の設計・合成技術が、将来的に有機薄膜太陽電池の材料を量産する際、高分子有機EL材料の生産設備を活用できることが強みになるとしている。

住友化学は今後、UCLAとの共同研究を続け材料の性能向上に向けた開発を強化し、早期に有機薄膜太陽電池の変換効率を実用化レベルに到達させる考え。有機薄膜太陽電池の特長を生かし、まず携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器向けの充電器、室内の壁や透明な窓ガラスとの一体型製品などの用途をターゲットとする。将来的にはさらに変換効率や耐久性の向上を図り、一般家庭の屋根置き用や産業用発電の用途での採用を目指す。

《レスポンス編集部》

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