日産自動車は5日、大地震など大規模災害の発生を想定した訓練を報道陣に公開した。訓練では、東日本大震災の教訓を踏まえて自社工場が津波の被害を受けたことを想定し、被災状況の確認から復旧に向けた対策や操業再開の目標設定などをシミュレートした。
日産では、国内の主力工場が今後大地震の発生が懸念されている関東・東海に集中し、そのほとんどの建物が旧耐震構造であることから、日本の大規模地震が日産にとって最も重大なリスクと認識。2003年に地震対策計画を策定し、ハード、ソフト両面からの対策を講じている。
今回報道陣に公開した訓練もその一環で、志賀俊之COOをトップとする全社災害対策本部が震災発生の当日と翌日にどのような行動、対策をとるべきかのシミュレートを行っている。訓練は2007年からほぼ年1回のペースで行われており、年々難度を上げているという。
東日本大震災後初めての実施となった今回は、東海、東南海、南海の3連動地震(最大震度7)が発生し、その後の津波で小型車などを生産する追浜工場(神奈川県横須賀市)や、子会社で自動変速機などを製造するジヤトコ(静岡県富士市)の工場の一部が浸水したことを想定。本社だけではなく、追浜工場やジヤトコも初めて参加して、被災状況の確認などの初動対応および発生翌日以降に行う復旧計画の検討といったBCP(事業継続計画)訓練を行った。
志賀COOは訓練後、報道陣と懇談し「去年も緊張感のある訓練をやったが、今年は気持ち的にも非常に緊迫した訓練ができたと思っている。こういう訓練を繰り返すことで、防げない災害について、少しでも被害を小さくすることを体で覚えていくことが重要」と述べた。