汚染土壌処理車両が登場---移動・設置が簡単

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車載式熱分解装置コンパート(稼働中)
車載式熱分解装置コンパート(稼働中) 全 6 枚 拡大写真

コンバート有限責任事業組合(石川県加賀市)では、有限会社広和金属工業(石川県白山市)が開発した車載式熱分解装置『コンバート』と、株式会社インパクト(石川県加賀市)が開発した放射性セシウム吸着剤「MI-4A」とを組み合わせた、移動式除染・減容化システムの提供を3月より開始した。

コンバート有限責任事業組合によると、現在、除染作業で発生する汚染土壌や廃棄物の量は、福島県内だけでも約3100万立方m(東京ドーム25杯分)に達する。

このシステムでは、汚染された土壌や草木、汚泥、稲藁などを、MI-4Aを用いて除染し、セシウムを除去する。そしてコンバートを使い、400〜500度で炭化することで、汚染廃棄物の体積を最大10分の1程度にまで削減する。

コンバートは車載式の熱分解装置だ。廃棄物を分解することによって無害化する。排ガスを出す焼却炉ではないので、設置のために環境アセスメントや許可が不要だ。また装置の大きさは従来型の6分の1以下ていどであり、設置・運搬の自由度が大きい。

いっぽうMI-4Aは、特殊天然ゼオライトや活性炭、酸化鉄などに、独自開発の凝集促進剤を加え、短時間でのセシウム吸着を実現した、水処理用の吸着剤だ。30秒〜3分で99%以上のセシウムを凝集・沈殿させる。同量のゼオライトと比較して約10倍の量の汚染水を処理する性能があり、価格も約2分の1に抑えられた。

この移動式除染・減容化システムでは、処理水のセシウム濃度を検出限界値(1.0Bq/リットル)未満に除染するとともに、除染除去物を減容化し、処理した土壌の約80%をリサイクルできる。廃棄物の連続投入が可能で、約2t=約1立方mの汚染土壌を1時間で除染・減容化し、高濃度セシウムを抽出する。

コンバートおよびMI-4Aは、福島県、宮城県内で実証実験が進められており、汚染土壌や廃棄物を、その場で直ちに低コストにて除染・減容化できる技術として期待されている。

コンバート有限責任事業組合は、車載式熱分解装置コンバートを販売するため広和金属工業を中心に関連企業6社で構成された。金属加工メーカーの広和金属工業は、回転寿司用フレームの製造技術を応用して回転キルン式の熱分解装置を開発、2009年にコンバートを実用化した。株式会社インパクトは廃液処理剤や消臭剤などを製造・販売する。地元で盛んな染物業の染色剤処理技術を活かし、11年にMI-4Aを開発した。

《高木啓》

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