【特集 クルマと震災 2012】中古車販売店、被災車両の割に需要は少ない

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ジャパンオート仙台
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震災直後、仙台市宮城野区の中古車販売店ジャパンオート仙台では、急激な中古車需要に見舞われた。

被災車両のユーザーが、移動の足となるクルマを求めた。当時店舗では、車両によっては通常時の2〜3割増の価格で流通する車両も存在したほど。震災から1年、同店舗の増子智巳社長に中古車需要の変化について聞いた。

2011年夏から需給安定したが…

主に中級以上の価格の中古車をメインに販売しているジャパンオート仙台。震災後は特に軽自動車の人気が高まった。前回取材を行なった2011年5月以降もタマ不足は続き、8月中旬過ぎてようやくタマの数が安定してきたという。

「タマ数の安定に伴い、中古車の販売価格についても安定しました。2011年の夏頃には、震災直後の2〜3割増という高騰状態からは落ち着きを見せたと記憶しています」と話す。

被災車両の割に需要は少ない

同店舗は、沿岸部に比べて相対的に被害が少なかった内陸部と、津波被害に見舞われた仙台塩釜港との間に位置する。そのため、顧客の被災状況には濃淡がある。こうしたなかで増子社長はある違和感を話した。「こう感じているのは私だけかもしれませんが、被災車両の数と、お客さま方が求めている車両の数が、比例していないのではないかと。数多くの被災車両が発生しており、需要の勢いからいうと2011年5月くらいのペースが続いていくのかなと思っていましたが、夏以降は震災前の状態に戻りました」。

潜在的な顧客は間違いなくいると見ている増子社長。だが実際の販売台数は、被災車両の台数と照らし合わせ、想定される需要より少なく推移しているという。これはどういうことなのだろうか。

「販売店にクルマはあるけれども、買う事が出来ない方がいらっしゃるのではないかと感じます。背景にあるのはまず雇用の問題。そして住宅の問題。クルマを確保しても停める場所が無い、クルマを買っても維持していけない、そういった問題があると感じます」。

「震災後にクルマを買うことができた方というのは、乗っていたクルマが流されてしまって、移動の手段としてクルマが欲しいと買われた方。自宅に被害は無かったけれどもクルマだけが流されてしまった方などが多いのではないでしょうか」。

同店舗で吸収してきた需要は、比較的軽い被害で済んだユーザーがメイン。大きな被害に見舞われた自動車ユーザーは、いまだにクルマの購入まで手が回らない状態であり、そうしたユーザーの数は少なくないとみる。

「クルマも住まいも含めて、不安定な状況の方がまだまだいらっしゃると感じます」。

燃費重視は強く

燃費に対しての意識は強くなったと感じている。大きいクルマは燃費が悪いとされ、なかなか販売しにくい状況となっているようだ。「大きいクルマや変わったクルマを仕入れてみるものの、なかなか反応はありません。一方で、HVは回転が速いです」。

《土屋篤司》

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