【トヨタ 86 試乗】ATはオマケではない…諸星陽一

試乗記 国産車
トヨタ86
トヨタ86 全 11 枚 拡大写真

トヨタ『86』はグレード間での違いはそれほどない、もっとも大きな相違はMTかATかという点だろう。

【画像全11枚】

スポーツカーなのだからMTのほうがいいというのは当たり前の評価だ。たしかに乗り比べればMTのほうが楽しい部分が多い。じゃあ、ATがつまらないかといえばけっしてそんなことはない。ATだって十分に楽しい走りが可能だ。

ATは6速のステップ式。マニュアル操作はセレクトレバーかステアリングのパドルスイッチ(「GTリミテッド」と「GT」のみ)で行える。スポーティに走らせるならやはりマニュアル操作がいい。マニュアルとした場合、エンジンはレッドゾーンの7500回転までしっかりと回りきる。勝手にシフトアップするという制御ではなく、レブリミッターが効く制御。つまり、7500回転ギリギリを使ってコーナリングすることも可能だ。

このATのもう一つのいいところは、シフトスピードが速いという点だ。世界最速レベルの変速レスポンスといううたい文句はダテじゃない。アップもダウンも素早いスピードで変速する。しかも、ダウン時は自動でブリッピングが行われエンジン回転がシンクロするので、クルマの挙動が大きく乱れるようなこともない。

200馬力のエンジンは自然吸気としては納得のいくパワーで、レスポンスも良好。エンジンの吸気音を室内に響かせるシステムを採用していて、加速時にはこれが効き、コクピットは快楽的な音に包まれる。

ハンドリングは素直で、クセのないタイプ。ステアリングを切ったなりに曲がっていき、VSCやトラクションコントロールをオフにすればドリフト状態を作り出すことも可能だ。

ジムカーナで360度ターンを行うときなどは、リヤの駆動を完全に抜いてから(つまりクラッチを切ってから)サイドブレーキを引くのだけど、ATだとこうした走りができないのが残念。ギヤを抜いてニュートラルにできるようなスイッチがステアリングに付いていると、走りの幅が広がるんだけどね。

かつてスポーツカーのATはオマケ的存在となっていた。しかし、限定免許人口が多い今、それは許されない。トヨタが86というリーズナブルなスポーツカーに、しっかりとスポーティなATモデルを設定したはじつに素晴らしいことで評価に値する。

パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタの最高峰、新型センチュリーは2ドアに、レクサス『LS』は6輪ミニバンに大変身…ブランド新戦略発表
  2. メルセデスベンツ『GLA』次世代型をいち早くプレビュー! 斬新なテールライト装備?
  3. 「さよなら50cc」歴史に敬意を込めたホンダ公式「50ccバイク」ロゴTシャツ発売
  4. 日産『アリア』改良新型を世界初公開へ、Vモーショングリルのない新デザインに…ジャパンモビリティショー2025
  5. ヤマハ発動機が新型3輪オープンカー、「AIで成長する」2輪車を世界初公開! 大型EVバイクなど16モデルずらり…ジャパンモビリティショー2025
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る