【VW ザ・ビートル 試乗】クルマはカタチだけで選ばれても構わない時代…金子浩久

試乗記 輸入車
ザ・ビートル
ザ・ビートル 全 6 枚 拡大写真

とても考えさせられた一台。

外から見えないところは「ほとんど『ゴルフ』と『ジェッタ』のものを流用」(デザイナーのクリスチャン・レスマナ氏)しつつ、外側のボディパネルをオリジナルのビートルに似せて作られている。

このクルマに乗って、ハンドリングが鋭いとか乗り心地が快適だとか、いわゆる試乗記的な言葉がどれだけ意味を持つのだろうか?

運転した感じは、ボディが大きくなったゴルフそのもの以上でも以下でもない。頭上空間が広くなったから大きなクルマに乗っているかのような錯覚を覚えるが、優秀な1.2リッターTSIエンジンと7速DSGトランスミッションの効率的な働きはゴルフや弟分の『ポロ』そのものである。

オリジナルの『ビートル』は空冷ボクサーエンジンをリアに搭載していた。それを発展させたものが『ザ・ビートル』でも先代の『ニュービートル』でもない。オリジナルの形には機能的な必然性があったが、このクルマにはない。カタチだけをセルフサンプリングしているだけだ。

その点は、MINIも「チンクエチェント」も同じ。ザ・ビートルが機能面でゴルフよりも優れているところはない。違うのはカタチだけだ。クルマは機能でなく、カタチだけで選ばれても構わない時代になったと解釈したい。

5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア・居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

金子浩久|モータリングライター
1961年、東京生まれ。主な著書に、『10年10万キロストーリー 1〜4』 『セナと日本人』『地球自動車旅行』『ニッポン・ミニ・ストーリー』『レクサスのジレンマ』『力説自動車』(共著)など。

《金子浩久》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. メルセデスベンツの主力SUV『GLC』、新型を9月に世界初公開へ
  2. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  3. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  4. カワサキ『Ninja ZX-25RR』を日本初導入、価格は105万2700円 スタンダード版「25R」は廃止
  5. その名の通り1000馬力! 新型スーパーカー『ブラバス1000』発表、AMG GTのPHEVをさらに強化
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る