【INDY500 2012】琢磨、優勝目前で散る…決勝

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
順位を上げてゆく佐藤琢磨。
順位を上げてゆく佐藤琢磨。 全 24 枚 拡大写真

歴史上2位タイとなる気温32度の厳しい条件の下、第96回を迎えるINDY500の決勝レースは200周の熱戦が繰り広げられた。

しかし、その主役は予選を圧倒したシボレー・エンジン勢ではなかった。上位グリッドを独占したペンスキーとアンドレッティのマシンたちは中盤を迎えるころにはホンダ勢に飲み込まれたのだ。

高い気温が味方したのか?ホンダはスピードでも燃費でも完全にシボレーの上を行っていた。チップ・ガナッシのスコット・ディクソンとダリオ・フランキッティは盤石のワン・ツー体制を築きつつあった。

そこへ絡んで行けたただひとりのドライバーがやはりホンダの佐藤琢磨だった。琢磨は19位からのスタートで113周で3位にまで上がり、119周で待望のレース・リーダーとなった。日本人ドライバーがブリックヤードで初めてトップに立った瞬間だ。

琢磨はその後もトータル31周をリードし、レースの主役を演じることになる。だが、4位で迎えたラスト17周でのリスタートで大きく遅れた。トニー・カナーンのトリッキーなリスタートにはめられたのだ。7位まで後退した琢磨だったが、本人はまったく諦めてはいなかった。

再度フルコース・コーションからのラスト7周でのリスタートでは今度は琢磨がやり返した。3位にジャンプ・アップし、さらにディクソンまで交わした琢磨の前にはもうトップのフランキッティしかいなかった。

最終ラップのターン1でインに飛び込む琢磨。スペースを閉めるフランキッティ。コース・サイドのエプロンまで寄せられた琢磨はたまらずスピンを喫する。スカイ・ブルーのマシンは回転しながらアウトのウォールに激突し、勝負はついた。

瞬時にイエロー・ライトが灯り、フランキッティの3度目のインディ500制覇が決定した。2位はディクソンでホンダ・エンジンがワン・ツー・フィニッシュを飾った。

琢磨のリザルトは17位に終わった。「お前が本当のウィナーだ!」アメリカ人ファンからの声援も琢磨の耳には届いていたのか?チーム・オーナーのボビー・レイホールに慰められると琢磨は一瞬だが声を詰まらせた。

世界でもっとも歴史の古いの自動車レースのひとつ、INDY500で日本人が限りなく優勝に近付いた瞬間は多くの人が忘れないであろう。

《重信直希》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 水平対向8気筒エンジン搭載バイクは世界唯一、中国長城汽車の「SOUO」ブランドが発表
  2. 6年ぶりビッグネーム復活!? 新開発のV12エンジンが搭載されるフラッグシップGTとは
  3. トヨタ『シエンタ』対応の「車中泊キット」一般販売開始
  4. スズキ スーパーキャリイ 特別仕様は“For Your Work Buddy”…デザイナーの思いとは?
  5. BMWの新型車、ティザー…実車は5月24日発表へ
  6. VW『ゴルフ』改良新型、新PHEVはEVモード143kmに拡大…欧州受注スタート
  7. BMWが14車種の新型車を発売へ…『X3』や『1シリーズ』に新型 2024年
  8. スマホ音楽を高音質で再生! オーディオテクニカ「AT-HRD100」「AT-HRD300」発売
  9. DSの新コレクション、「サン=テグジュペリ」の映像公開…「旅は芸術」のビジョンを表現
  10. 『セリカ』はGRで復活か? エンジンは?---トヨタの名車が再登場へ
ランキングをもっと見る