【人とくるまのテクノロジー12】自動車技術会講演「2030年のスモールデリバリーカー」

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三菱 ミニキャブMiEV
三菱 ミニキャブMiEV 全 6 枚 拡大写真

人とくるまのテクノロジー12の自動車技術会春季大会において、デザイン部門委員会企画のフォーラムが開催された。

今年のテーマは「2030・スモールカーでワクワク移動 ~小さなクルマの大きな未来~」とし、4メーカーのデザイン本部長が講演。三菱自動車デザイン本部本部長大塚弘明氏は「2030年のスモールデリバリーカー」と題しプレゼンテーションを行った。

三菱が2011年12月に発表した電気自動車『ミニキャブMiVE』は、「商用車で、配達が中心。また給電機能もあるなど、今後期待されるだろうと考え発売した。これが将来どうなるのかなという一例を述べさせていただきたい」とする。

最初に大塚氏は、現在の住環境の問題点として、「郊外の一戸建ては非常に高齢化し、住みにくくなった。そして、都会の高層マンションでは出会いが限られ、世代間コミュニケーションが薄くなっている」ことを挙げる。

そこで、「都市にある工場を郊外に移転するとスペースが確保できる。ここに新しく暮らせる楽しいコミュニティが作れるのでは」と提案する。その街づくりでは、「自転車、自動車、歩行者が分け隔てなく同じスペースを共有する。その道幅は、日本の古い街は通りが狭いが、これが良さを発揮している。人柄、人肌感覚の通りだ。それにより、老若男女、世代を超えて交流ができている。最後は広場。みなが集まることで、その街自体と、人々が活性化することになる。カフェやベンチがあり、それからコンビニ等があると便利」だという。

その街には、通常のクルマは入れず、スモールデリバリーカーが活躍する。電気自動車で住宅内の6畳間ほどのスペースに駐車できることを想定。「歩行者を脅かさない高さ、幅。親しみのある形で、人に微笑みをもたらすデザイン。そして、ドライバーと歩行者間での挨拶がしやすい。これが、大きなコンセプト」という。

また、「(荷物などの)運搬量によって、後ろに追随するモノを設定したい。カルガモの親子のようなモノを想定しており、何台も連なり、移動販売車にもなる」とする。連なった車両が街中を行き来し、輸送物を身近にまで届けてくれるイメージ。高齢者にも優しく、商品を陳列しパレードをすることも可能だ。

このクルマは、「高齢者の日々の買い物をサポートし、微笑ましい住環境をもたらす非常に楽しいもので、コミュニティの交流を活性化させる。これにより、みなの心が和み、楽しい雰囲気を感じ、生活が非常にエンジョイできるようになるのでは」と語る。

最後に大塚氏は、「2030年、将来の持続的な可能性として、未来の楽しい社会の実現に向けて、都市計画、住宅開発、それからクルマなど業界の垣根を越えて問題を解決する必要があるのではないか。この提案がそのきっかけになればうれしい」とした。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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