【プリウスPHV 3か月検証】マイルーム機能…もうひとつの生活空間

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マイルーム機能をつかうと、充電中に、エアコン、オーディオなどの室内装備が利用できる。
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外部電源から充電し、近距離であればEVとして運用可能なプラグインハイブリッドカー、トヨタ『プリウスPHV』。今年末にはプリウスPHVに搭載している大型リチウムイオン電池と大出力ジェネレーター(発電機)を利用したV2H(車両から住宅)電力供給の実験も開始予定であるなど、EVを社会に有効にインストールするための様々な試みが行われていくことだろう。

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●マイルーム機能…もうひとつの生活空間

そんな未来的なプロジェクトとはちょっと意味合いが異なるが、プリウスPHVには通常のエンジン車やハイブリッドカーとは異なる、EV的な機能がいくつも備わっており、先進感を味わうことができる。そのひとつが「マイルーム機能」だ。

マイルーム機能とは、外部電源からプラグイン充電中、供給される電力の一部を使ってクルマの電装品やDC12ボルト電源を使用できるというもの。

ノーマルの『プリウス』でもアクセサリーモードで車載機器を使うことはできるが、大きな電力を必要とするインバーターエアコンの冷房機能は走行が可能になるシステムONでしか使えず、車載バッテリーの電力も消費してしまう。プリウスPHVのマイルーム機能はそういった制限がなく、充電中にエアコンをきかせながらテレビを見たり、ノートパソコンやスマートフォンなどを使って仕事をすることが可能である。マイルーム機能が立ち上がっている時は、インパネ内のエネルギーモニタは走行時と異なり、電池容量や充電残り時間といった充電情報が表示される。

プリウスPHVをマイカーとして運用中の本サイト編集長、三浦和也は、「充電のためプラグが刺さっている状態ではプリウスPHVは発進できないようになっています。スターターボタンを押すと、自動的にマイルーム機能が立ち上がります。自分の場合、今のところはそれほど積極的に活用する局面はありませんが、オーディオのリスニングルームとしては使えるのではないかと考えています。プリウスPHVのオーディオは、純正品としてはかなり音が良く、自分も含め音質にこだわるユーザーもある程度満足のいくものです。娘が定期テストで勉強しているときも、プリウスPHVで遠慮なく音楽鑑賞ができるかなと期待しています」

もっとも、クルマの中は移動時の快適性を主眼としてレイアウトされているもの。停止したクルマの中で長時間過ごすのは心身ともにストレス要因にもなる。

同じくプリウスPHVユーザーのフリーVTRカメラマン、山崎英紀氏は、「マイルーム機能ですか?試しに使ってみたことはありますが、普段使うシーンはないですね。私の場合、職場と自宅に充電設備がありますが、車内でテレビを見たりはあまりしません」

プリウスPHVはEVと違い、エンジンを使って走行することができるため、充電は必須ではない。わざわざ外で長時間かけて充電し、待ち時間を車内で過ごすのはレアケースであろう。

ただし「同僚が『2歳の子供がいて、週末にPCに向かっていると子供が近寄ってきて仕事にならない。近所のファミレスに一日何度も行って仕事している。以前だったらクルマの中もいいが、いまはアイドリングしながら車中で過ごすことに抵抗を感じる』と話していました」(三浦)

●プリウスPHVは、EV的使用が色濃い

プラグインハイブリッドカーを次世代エコカーの本命と位置づけるトヨタがプリウスPHVを発売してから3か月経過したことをきっかけに、燃費や電費、使用感などを集中的にリポートしてきた本コーナー。取材を通じて感じたのは、近距離メイン、ないし出先に充電設備があるユーザーにとっては、当初の想像よりずっとEV的な使い方になるということだった。

トヨタが2代目プリウスをベースに初めてプラグインハイブリッドカーの実証試験モデルを出した時は、EV航続距離13km程度。その距離ではいくら何でもメリットが薄いというものだが、そこから10kmほど航続距離が増えただけで、一気にEVらしさが増した。三浦の場合、遠出の機会がほとんどなかった4月は大半がEV走行。メインの仕事場まで片道40kmという長距離通勤の山崎氏でも、出先で充電すればEV走行比率は約5割に達する計算だ。クルマの石油エネルギー使用量を減らす“節石油”にとどまらず、石油エネルギー以外で起こされた電力をクルマに使う“脱石油”に一部踏み込むクルマとしては上々の仕様であろう。

クルマとして良くない部分もほとんどない。操縦安定性、乗り心地が劇的に向上したマイナーチェンジ版プリウスをベースにしていることもあって、乗り味に低質さはほとんど感じられない。街乗りばかりでなく高速巡航も非常に快適だ。一般的な使い方で気になるのはシートクッションの薄さ、外部騒音の侵入にやや弱いことくらいだろう。

●改善ポイントの最たるはコスト

が、要改善のポイントがないわけではない。その最たるものは、やはりコスト。Sグレード同士での比較で、ノーマルプリウスに対して88万円高の320万円というのは、コストメリットを感じられない水準だ。補助金45万円を見込んでも43万円高い。三浦氏のように「ベンツCクラスから乗り換えるだけの理由付けがあるクルマ。EVの気持ちよさ、先進感を考えれば、価格も目をつぶる事が出来る」と考えるアーリーアダプターユーザーにとってはいいが、それだけではエンジン車からの代替にはつながらない。

逆に言えば、高価格の問題さえ解決されればプリウス購入を考える一戸建て住まいのユーザーのうち、何割かはプラグインハイブリッドモデルを選ぶようになる可能性は十分にある。構成部品の中でぶっちぎりに高い、バッテリーのコスト低減を実現させる技術革新が待たれるところだ。

「プリウスPHV3か月検証」はこれにて終了するが、2012年夏過ぎをめどに、今度は高温多湿期におけるプラグインハイブリッドカーの使用感、エコラン性能などの実態をあらためてお届けしたいと考えている。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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