【トヨタ プリウスPHV】充電設備の存在意義がEVと違う…西村直人

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立体駐車場にも電気を
立体駐車場にも電気を 全 12 枚 拡大写真

2012年1月30日の発売以降、すでに5800台を売り上げた『プリウスPHV』(5月末時点)。純粋に考えて1450台/月というペースだ。

この数字、ベースの『プリウス』が平均して2万5000台/月(2011年販売実数)を売っていることから考えると、プリウスよりも(装備に若干の違いはあるけど)88万円高い車両価格に押され気味なのか、と勘繰ってしまう。まぁ、プリウスのように供給体制が整わない事情もあるとのことだから単純比較は苦しいか? ただ、その価格差も、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金を組み合わせれば40万円余りに収まるわけだし、スマートホーム風に「H2V Manager」を自宅に導入すれば“見える化”で電気の消費量を減らせるというし、ちょっと面倒な事務手続きや自宅への設置を乗り越えてしまえば(どこで区切るかは別問題として)トータルではお得になるのでは…。あれ、違うの?

そこで実態を探るべくプリウスPHVと1週間過ごしてみた。実は昨年のちょうど今頃、日産『リーフ』と3週間ほど行動を共にしていたので「PHV」と「EV」の違いにも触れつつ、プリウスPHVが謳う61.0km/リットル(プラグインハイブリッド燃料消費率)という数字にも迫ってみたい。

この4月に横浜で開催されたメディア試乗会。そこで初めてプリウスPHVのステアリングを握った。もう最初の5分でプリウスとは違う一面が感じ取れました。試乗会開催日は春の嵐もいいところ。先日の台風4号よろしく風速30m/s以上の荒天! 開発部隊曰く「燃費条件的には最悪レベル」と言われるなか、それでもプリウスPHVはエコランなしで38.8km/リットル、エコランありで53.7km/リットルをあっさりマークした。

ちなみにメディア試乗会の時は、当たり前だが発着点が同じ。終点めがけてバッテリーを使い切れば燃費数値は劇的に伸びる。ただ、ここでの燃費数値は実際とかけ離れていると常々感じているので、私はこの走法とは別に、普通に走る燃費計測モードでも試乗します。

いずれにしろ、この燃費数値、やはりEVモードでの航続距離が延びたことが決定的なアドバンテージになっている。今回の試乗時にも積極的にEVモードのスイッチを入れて走らせていたのだけれど、効率うんぬんは別にして確かに100km/hまでモーター走行可能というのは気持ちイイ。重箱の隅をつつけばリーフほど力強くなくて静かではないけれど、EVモードを自慢のひとつにするだけはある、と改めて実感した。

とはいえ、である。

実のところ私は集合住宅住まいであり、立体駐車場派だ。最近では立体駐車場にも充電設備を整えようという話もあるようだけど、残念ながらウチのパレットは200Vはおろか100Vの充電環境すら持ち合わせておりません。この問題、机上で比較しただけならリーフの分が悪そう。けれど借りている本人が“電欠したら1mmも走らないんでしょ!”と腹を括っていたため、大きな苦にはなりませんでした。実際は駐車場への入庫前に必ず急速充電ポイントで20分程度充電してたので、“まったく苦じゃない”と言ったらウソになるけれど。“そんなもんだよね”的に(諦めモード半分の)謙虚な気持ちでお借りしていたのが功を奏したようで、想像するよりも面倒ではありませんでした。

それよりですよ! このPHVの特長をフルに活かそうとすると、やっぱり自宅車庫で充電したい…、というより充電設備は必須だということが判明したのです。

《西村直人@NAC》

西村直人@NAC

クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。専門分野はパーソナルモビリティだが、広い視野をもつためにWRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席したほか、東京都交通局のバスモニター役も務めた。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会・東京二輪車安全運転推進委員会指導員。日本イラストレーション協会(JILLA)監事。

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