ピレリタイヤはタイトル争いに影響を与えることを避けるため、シーズン中のコンパウンド変更は行わないという。
開幕戦から11レースを終えた時点で、タイトル争いはフェルナンド・アロンソが2位に40ポイントの差でリードしている。その一方で2位から5位までの差がわずかに8点という接戦が今年の特徴だ。
ただ11戦までに優勝を経験したドライバーが8人という状況と、各チームのパフォーマンスの変動を考慮すると、タイトル争いの今後の展開は予想し難い。
ピレリは昨年シーズン半ばにハードコンパウンドを改良し、今年はドイツGPのフリー走行で超ハードコンパウンドの試作品をテストしたが、タイトルレース上位の微妙な状況に配慮してシーズン後半もコンパウンドやタイヤ構造の改変はしないと表明した。ピレリ・モータースポーツ部長のポール・ヘンベリーが語る。
「今年もシーズン半ば頃にコンパウンドに若干の改良をしようかと思ったのですが、今年の接戦状況を見ると何をどういじっても、どこかのチームに有利に働いてしまう可能性が高く、タイヤ改良は諦めざるを得ないという結論に達しました。本当は何箇所かこれは改善したい部分もあるのですが……」
2011年に単独タイヤサプライヤーとしてF1に復帰したピレリは、それまでの独占サプライヤーブリヂストンよりもデグラデーションの速いタイヤを設計し、参戦チームにこれまでとは違ったチャレンジを提示した。昨年も今年もF1チームはタイヤの理想的なパフォーマンスを引き出すのに苦労したが、2014年には大規模なレギュレーション改正が控え、リソースを分散せざるを得ない来季は、チーム側には幾分理解しやすいタイヤをピレリは用意するということだ。
「来季のタイヤ構造やコンパウンドを選定するにあたり、チーム側がどの程度の難易度を求めているのかを探る必要がありました。とくに2013年は準備を整えながら2014年の大掛かりなルール変更に備えなければならないという大変な年ですから。もしも2014年以降もF1を続けると仮定しての話ですが、ピレリとしてはもっと劇的な変化をF1にもたらしてみたいと考えています」