【クラリオン NX502 インタビュー】マップルナビ4で他社製品との差別点が明確に

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クラリオンセールスアンドマーケティング 営業本部 市販営業部 村田典義氏
クラリオンセールスアンドマーケティング 営業本部 市販営業部 村田典義氏 全 12 枚 拡大写真

2DINナビながら本体で5万円を切る戦略的な価格により「AVライトナビ」というカテゴリーを切り開いたクラリオン『NX501』の後継機、『NX502』が登場した。本機最大の話題は、ナビゲーションアプリに「マップルナビ4」が採用されたことだ。

今回、NX501における両社のコラボレーションのきっかけから、新モデルの進化点、販売現場からの声などについてキャンバスマップルのナビゲーション統括部 広瀬浩司氏と、クラリオンで市販製品の営業を担当する3名に話を聞いた。そして、AVライトナビと新たなカテゴリーを切り開いたNX501やNX502について市場での反響と今後について聞いた。

◆震災の影響で急遽投入が決定したNX501

----:まず、コラボレーションのきっかけになった、昨年発売の『NX501』について、発売の経緯についてお聞かせください。

クラリオン 村田典義氏:これまでクラリオンのナビはメーカーオリジナルのナビ機能やコンテンツを搭載していたわけですが、NX501というモデルに関しては、震災でナビの部品供給が途絶え商品を用意できないということで、世界展開モデルを国内仕様に変更し『マップルナビ3』を搭載して発売すると企画の方から我々営業のほうに伝えられました。据え置き型のナビとしては、クラリオン以外のナビゲーションエンジンを載せる初めての例となりましたので、当初はどういう風に市場に認知されるのだろうという部分がありましたね。

----:マップルナビはこれまでPNDでは採用実績ありましたが、初の2DINナビであるNX501にマップルナビ3を搭載するにあたっての苦労というのはあったのでしょうか?

キャンバスマップル広瀬:機能面に関してはVGA対応のマップルナビ3をほとんどそのままハードウェアにあわせ込むというカタチで採用していますので大きな仕様変更はなかったのですが、それを考慮しても商品の発売まで2カ月という開発期間は非常にタイトでした。業界としては考えられないほどの開発スピードが求められました。

また、車載のナビはドライバーが安全に利用できる安心感や信頼性というものが求められています。据置き型への採用に当たってはこれまでのPNDとは違ったユーザーインターフェースを採用しておりまして、今後も車載で求められる使いやすさを追求していきたいと思っています。

----:結果としてNX501は、PNDとNX711というメモリーナビの隙間を埋める商品を投入できた、ということですね。

クラリオン村田:震災により商品が投入できないということで、とにかく北米モデルベースであってもAVNタイプの投入は必然でした。元々NX501は、ナビではなくマルチメディアオーディオに近いモデルでして、国内ではナビが入っていないと厳しいだろうということでAVナビゲーションとして投入しました。実際に投入してみると、軽自動車やコンパクトカーへシフトする消費者のニーズとNX501の高いコストパフォーマンスが、がっちりはまったモデルになりましたね。

----:タイミング的には取付費込みで10万円アンダーの市場が爆発した2011年というタイミングに最適の商品投入という印象があったのですが、各方面の反響はどういったものがあるのでしょうか?

クラリオン村田:そうですね。非常に短期間にNX501をリリースすることができたこと、消費者の求める低価格化のニーズに合致し、量販店に対しても受け入れられ実績が上がりました。

もともとの商品力とユーザーニーズに支えられてヒットしたNX501

----:量販店で受け入れられた理由をどのように分析されていますか。

クラリオン 岩崎賢治氏:この価格帯のナビでDVDを再生できるモデルはなかったので、まずそこが受け入れられたと思っています。また、値段だけでなく機能面においても、軽自動車やコンパクトカーのお客さんでは近所しか乗らないといった人も多く、そういった人のニーズにもマッチしていて、震災による品不足だからと言うことでなく、売れる商品なのだと感じました。

----:日本のカーナビユーザーは自車位置の精度などにこだわりがありますよね。NX501ではGPSのみでジャイロや車速の情報を取らない割り切ったモデルになっていますが、販売面で不利になるといったことはなかったのでしょうか?

クラリオン 植田純一氏:量販店さんのAVコーナー担当の方はそういう風におっしゃいますが、実際に我々も店頭に立ってエンドユーザーさんとお話しする中では“そこまでこだわらないよ”という声もあります。また、昭文社さんの観光ガイドはコンビニにも置いてあるので知名度もありますし、実際にナビ画面を操作していくことで“これ見たことある!”とか、“これが入っていれば他のコンテンツはいらないね”との声もありました。そういった、これまでのナビにない新しい部分とDVDも再生できる充実したAV機能により非常にユーザーに受け入れられた商品であると思っています。

----:据置型ナビの話が来たときの感想は。

キャンバスマップル広瀬:NX501というのは、弊社にとって車載型への初めての挑戦でして憧れでもありました。据え置きのナビゲーションというのはオーディオ機能もありますし、やはり車内の主役の座なのかなと思っていて、そういったところに一緒に取り組むことができて嬉しいお話でした。ものすごいテンションのなか、納期を間に合わせるために、一生懸命走り続けた感じです。

----:NX501のマップルナビ3では厳しい納期をクリアするという至上命題がありましたが、その中でどのようなナビを実現しようと考えましたか?

キャンバスマップル広瀬:まず、NX501で採用されたマップルナビ3についてですが、私も10年あまりこの業界でナビゲーションを作り続けてきましたが、これまでのカーナビでは目的地を決めるのに文字だけの画面がずっと続いていて、そこが楽しくないなと感じていていました。マップルナビ3ではガイドブックの楽しさを融合させてお客様に解りやすく見せるといったところにこだわっていて、業界最多となる約8万件の観光ガイド情報を収録しています。

----:震災への対応で登場したNX501に続き、NX502をリリースしたのは、当初からの予定だったのですか。

クラリオン村田:NX501は、震災時におけるワンスパンのモデルという考えも社内にはありました。しかし、実際にふたを開けてみたらそこにニーズがある、なおかつAVライトナビというポジションが販売実績も含めて社内でも確立されたことが大きかったです。販売開始後約3カ月で実績がギュッと上がり、それを見る中で、このゾーンは他社にはないのでクラリオンとしてはやるべきではないかという希望は営業サイドにはありました。

◆ガイドブックづくりのノウハウを投入したマップルナビ4

----:NX501での成功を受けて、次期モデルをという話になったとき、NX501に比べればある程度開発期間には余裕があったと思いますが、どのようなことを念頭において開発の当たったのでしょう?

キャンバスマップル広瀬:今回のNX502に搭載されたマップルナビ4に関しては、ガイドブックをカーナビに融合するだけでなく本では出来なかったことをやってみようというのがテーマとなっています。具体的なものとして、8万件の観光スポットを場所と季節にあわせて提案する「今が旬」という機能を作りました。その季節の“食べ頃”、“見ごろ”といったものがリストアップされ、現地にいってメニューを開くとおすすめのスポットを選べるようにしています。

----:なるほど。

キャンバスマップル広瀬:また、もう一つ「誰と行く?」という検索メニューがありまして、一緒にお出かけする相手、家族であったりカップルなどを選んでいただくと、それに合わせておすすめの観光スポットが提案されます。こうしたカタチで8万件の情報の中からどこに行ってもどんなシーンでも、リストの先頭から順に10件とか20件ぐらい見れば見つかるので、迷わずに簡単に楽しく観光スポットを探せるものに仕上げられたと思います。

----:マップルナビ4はキャンバスマップルの目指すナビの理想に近づいたといっていいのでしょうか?

キャンバスマップル広瀬:マップルナビ4はこれまでのマップルナビの集大成として出したものでして、とくに「誰と行く?」という機能は、実は3年ぐらい前から仕込んでいたものです。親会社の昭文社では、地図やガイドブックを様々なターゲットに向けて本を提供しており、アプリにもそのノウハウを盛り込んでいます。

----:こういったスペック的な機能面でない使い勝手の進化を、販売現場で分かりやすく伝えるための工夫などはされていますか。

クラリオン岩崎:ナビゲーションは、これまで右肩上がりで機能が進化してきましたが、それに伴って、ユーザーの方にはほとんど使われないデータや機能も増えてきました。マップルナビでは観光に特化したナビとして、「クルマを土日のドライブメインで使うなら一番いいですよ」、と勧められる商品になったと感じています。

クラリオン村田:地図データはここ数年、地図の差分更新であったりデータの鮮度が重視されてきましたが、マップルナビ4ではナビの側から観光スポットやドライブを提案してくれるという斬新さがあります。販売の現場でも他社との明確に差別化できるポイントですので、今後も強く訴求できればと思います。

◆スマートフォンとの連携を意識しながら開発を進めていく

----:今年のナビのトレンドは、スマーフォン連携ですが、スマートデバイスに対する取り組みというのはどのように考えられているのでしょうか?

クラリオン村田:店頭でお客様の声を聞いていても、やはりスマートフォンだけでは通信が切れることを心配される方は多いです。車載機にはナビが入っている方がお客さんには安心して頂けるので、車載ナビとスマートフォンナビは、しばらくは共存していくカタチになると思っています。

----:NX502や両社のコラボレーションに対する期待感というのはどういうものになるのでしょうか?

クラリオン岩崎:今回の新機能を中心に、マップルナビのガイドブック機能を訴求をしていきたいと感じました。本とナビでお互いの相乗効果を狙っていきたいと思います。

クラリオン村田:広瀬さんの話を聞いて、カーナビの地図データベースに対する認識の違いというものに気付かされた思いです。マップルナビ4では、GPSの部分に関してはトンネルモードを投入していたりと、いろんな面で訴求するポイントがあると思いますので、従来にない販路に対してもNX502を訴求をしていけるのではないかと思います。

キャンバスマップル広瀬:一人のユーザーとしてクラリオンさんの商品は、エンターテイメント指向がありチャレンジングなものが多く、そういった部分がこれまでユーザーに評価されてきたと思っています。今後も両社のコラボレーションで、クラリオンさんのエンターテイメント指向とマッチした最高に楽しいカーナビを作り続けていきたいと思っています。

《聞き手 北島友和》

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