【トヨタ ポルテ 試乗】スローモビルという選択…青山尚暉

試乗記 国産車
運転席側にリヤドアが加わったのが新型らしさ。
運転席側にリヤドアが加わったのが新型らしさ。 全 21 枚 拡大写真

スローモビルと呼ばれるクルマはオープンカーが代表格だ。

たとえ高性能でもフルオープンにすると風の気持ち良さに誘われ、ゆったり走りたくなる。が、新型『ポルテ』もまた、スローモビルと呼ぶにふさわしい1台だった。

ポルテと言えば幅方向で『アルファード』を凌ぐ大開口スライドドア、地上300mmのフラットフロア、助手席ロングスライド(先代750mm、新型700mm)、子供が立てるほどの室内高などを備えた、使い勝手抜群のママズカーと決めつけている人も少なくないと思う。走りなど二の次、というイメージだろう。

その新型はついに右リヤヒンジドアを追加。これで運転席から後席にアクセスする際、ボディーを半周回る無駄な動線(先代最大の不満点)が不要になった。シートアレンジでは後席6:4分割が座面まで可能になり、結果、自転車を後席部分に積んでも人が1人、座れるようになったのだ。後席スペースの拡大も著しく、身長172cmのドライバー基準でひざ回りにMクラスのボックス型ミニバン並みの360mmという、あきれるほどの余裕がある。

また、センターメーターを持つインパネの、機械っぽさ皆無の仕立て、ティッシュボックスがすっぽり入り、スマートに取り出せるアイデア、運転席前の写真立てなど、癒やし感とリビング感に溢れたインテリアも大きな特徴だ。特にフロマージュと呼ばれるベージュとオレンジの内装は本当にくつろげ、癒やされる空間を演出。長距離走行、緊張しがちな高速走行でも精神的疲労度は最小限で済むはずだ。

そんな新型ポルテは癒やし系のインテリア、シートの掛け心地、優しい乗り心地もあって、隣で安めぐみが「ゆったりゆっくり走ってね」と声をかけてくるようなキャラクターの持ち主。だから急いでいても飛ばそうなんて気になりにくい。結果、燃費のいい走りになる。これぞスローモビルである。

しかし走りの資質は劇的に向上している。カーブや山道でも前後左右の姿勢変化、ロールは最小限。飛ばしても安定感、安心感に満ちた走りの気持ち良ささえ味わえるのだからびっくりだ。ちなみに横滑り防止装置のVSC+TRCは 全グレード標準である。

エンジンはメインの1.5リットルと1.3リットルが あるが、日常域では1.3リットルでも十分な動力性能を発揮。むしろ古い1.5リットルユニットより静かで回り方もよりスムーズで気持ちいい。1.5リットルの有り難みを感じるのは高速道路の合流、追い越しぐらいだ。

ただし、1.5リットル車は厳密には2種類ある。標準車はスチールホイールとエコスペシャルタイヤの組み合わせで、曲がりのシーンでのタイヤ変形量は大きめ。一方、ドレスアップパッケージに含まれるアルミホイール装着車のタイヤはノーマルタイヤ。 走りの質、しっかり感、安定感、走りやすさで圧倒する。長距離走行の機会が多いならこちらを薦める 。

新型ポルテはペットフレンドリー度も高い。後席部分はアレンジ次第で自転車1台+人間1人を飲み込むスペースがあるほどで、助手席を最前端位置で格納すれば幅1270mm、奥行き最大740mmものごく低いフラットフロアが出現。大型犬でも横になれ 、足の弱った老犬でも乗りやすい。人間に優しいユニバーサルデザインのクルマは、ペットにも優しい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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