ミニカーもRCも“小型&手頃”へ…「静岡ホビーショー」で見えた新トレンド

ミニカーもRCも“小型&手頃”へ…写真はメイクアップの「マセラティ ティーポ61」の試作モデル
ミニカーもRCも“小型&手頃”へ…写真はメイクアップの「マセラティ ティーポ61」の試作モデル全 21 枚

アジア最大のホビーショーとして、海外からも多くの人々が集結する「第64回 静岡ホビーショー」(5月13日~17日)が、静岡ツインメッセで開催された。会場には異言語が飛び交い、中東の民族衣装を纏った人などもいて、国際色にも溢れていた。

【画像】「第64回 静岡ホビーショー」に展示されたRCカーやミニカー

ホビー人気の中心はフィギュアなのかもしれないが、レスポンスではもちろん、自動車関連の展示物のみをお伝えしよう。

端的に言って自動車の模型は大きく「動くもの」と「動かないもの」に大別される。動かないものはミニカーやプラモデル。そして動くものはラジコンとスロットカーである。かつてはプラモデルにも、モーターライズと呼ばれる動くプラモデルが存在したものの、今はそれがラジコンに取って代わられた。

◆小型、手頃感がトレンドに

タミヤのランチボックスRCカー。背景に移るのはホンモノのクルマ。タミヤのランチボックスRCカー。背景に移るのはホンモノのクルマ。

というわけで、まずは「動くもの」の紹介から。会場で一際目立っていたのが、タミヤのRCカー、『ランチボックス』だ。オリジナルが登場したのは1987年のことで、人気があるゆえに、何度も復刻されて今に至る。今回は実物とともに展示されていたために、目立ち度抜群であった。

ラジコンはとりわけ目立った新商品があったようには感じられなかったのだが、一定の固定ファン層がいることは間違いなく、自動車関連ではホビーショーの中心的存在であることも間違いない。

そんな中で興味をひかれたのが、京商の『ミニZモデル』。手軽な価格帯で楽しめる小型のラジコンモデルだが、今回は『デロリアン』ベースの、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシンや、ドラマ『ナイトライダー』のキットなどキャラクターものが新たに登場していたことだ。いずれも車両は7000円~8000円台と、ラジコンモデルとして手頃感の高いモデルである。

京商のミニZシリーズ。バックトゥザフューチャーのデローリアン京商のミニZシリーズ。バックトゥザフューチャーのデローリアン京商のテーブルトップシリーズ。いかにサイズが小さいかわかる京商のテーブルトップシリーズ。いかにサイズが小さいかわかる

さらに京商は、「テーブルトップシリーズ」と称する新たなRCを投入する。そのサイズは、ミニカーでは今やこれが主流と言える64分の1。驚くほど小さな模型だが、なんとドリフトマシンなのだ。最初に登場するのは「R35ニッサンGTR」ということであるが、ショー会場にはまだボディレスの、ベアシャシーのみが展示されていた。この小ささながら、これも驚くことに前後のライトが点灯し、しかも駆動は4WDである。

業界で唯一スロットカーを扱っている国際貿易は、昨年展示したAFX社製の64分の1サイズ、スロットカーセットが、いよいよ発売開間近になった。発売まで1年以上を要している大きな理由は、日本の電気の安全を確保するためのPSEという規格に準拠させるためであり、すでに並行で輸入されている商品はこの規格の認証を受けていない。ということで、「誰もが安全に楽しめるように」、という会社の良心が遅延の理由である。

国際貿易が発売するAFX社製のスロットカーコース。4レーンでかなりコンパクトである。写真は昨年展示されたもの国際貿易が発売するAFX社製のスロットカーコース。4レーンでかなりコンパクトである。写真は昨年展示されたもの

最初に投入されるのは、世界のサーキット全25コースが再現できる4レーンのセット。価格はすでに決まっていて、5万4780円とのことだ。因みに写真は、昨年展示された鈴鹿サーキットを模したコースのレイアウトである。コンパクトだから家庭でも気軽に遊べそうだ。

◆ミニカーも「64分の1」サイズに舵

続いて「動かないもの」だが、ミニカーはやはり自動車模型の王道といって過言ではない。今年も多くのブランドが会場を賑わせていたが、中国ブランドの躍進は凄まじい。もちろん日本ブランドも、生産先はほぼ中国といっても過言ではないのだが、今や中国あってのミニカー市場である。

そんな中、かつては中心的存在だった43分の1サイズに代わり、今では64分の1サイズが主流に様変わりしている。昨年もその兆しがあって、多くの出展者に話を聞くと、そうした傾向が強いという声を耳にしたが、今回は完全にそちらに舵が切られたようだ。

スパークの64分の1シリーズスパークの64分の1シリーズ

43分の1が主流の座を追われた最大の理由は、価格の高騰である。やはり手軽に楽しめて価格がこなれていれば、気軽に買うことができる。日本でもトミーテックのトミカを中心として、64分の1サイズのミニカーの歴史は長く、安いものだと1000台から手に入る手軽さで、コアなファン層を作り出している。日本的には家の事情もあって、ディスプレイするにもこのサイズが適しているのは言うまでもない。

ただ、極小サイズゆえにディテールの甘さは否定できず、精緻さを追求した、よりサイズの大きなものと比較すると、我慢を強いられたいたのがこれまで。ところが、今年は特に小さいながらもドアやボンネットが開くギミックを取り入れたモデルが多くなったり、サイズは小さくてもディテールが甘くなく、鑑賞に堪えるモデル多く見られるようになった。

中国のメーカーとして躍進著しいモーターヘリックスは、香港で2016年に創業し、現在は中国の深圳に拠点を置く。18分の1と64分の1が商品の中心で、特に64分の1のディテールの良さは注目に値する。今回目を引いたのは、会場でのみの販売だった限定99台の「マツダ787B」のディスプレイ。横に恐らく18分の1サイズと思われるロータリーエンジンが一緒にセットされて、カウルの開閉も可能なモデルだった。他にも「ホンダNSX」のフルオープンモデルなど、注目度の高いモデルが多かった。

モーターヘリックスのチャージマツダモーターヘリックスのチャージマツダ

43分の1サイズのレジンモデルで素晴らしいディテールのレーシングカーを中心に展開してきたスパークも、新たに64分の1サイズを展示していた。しかも台座ごとスマートに収まるディスプレイケースの試作品も同時に展示。中に納まる「ポルシェ956」を中心としたレーシングカーの姿に思わず、これは…と食指が動いたものだ。しかも価格は3300円とかなり手ごろである。

今回ミニカー展示の白眉ともいえるのは、業界で唯一自社工場を持ち、精緻なモデル作りで定評のあるメイクアップが展示した「マセラティ ティーポ61」の試作モデルであろう。ホワイトメタルの無塗装状態のモデルで、バードケージのニックネームを持ったフレーム構造まで見事に再現されていた。因みにこのケージ構造はハンドメイドだそうである。

メイクアップの「マセラティ ティーポ61」の試作モデルメイクアップの「マセラティ ティーポ61」の試作モデル

◆プラモデルは塗装・接着不要で“組み立てやすさ”前面に

年々縮小化傾向にある自動車のプラモデルだが、アオシマ文化教材社とハセガワ模型だけは、この分野に力を入れている。アオシマが2017年から投入している塗装不要、接着不要と、組み立てやすさを前面に押し出した「楽プラ」シリーズは、今やアオシマの中心的商品に成長した感があり、今年は楽プラシリーズをより分かりやすくするために、塗装して組み上げたモデルと、未塗装状態で組み上げたモデルを並べて展示していた。

今年創業85周年を迎えた株式会社ハセガワのハセガワ模型も、アオシマ同様作り易さを標榜した新シリーズ、「eもけ」という商品を投入する。アオシマの楽プラ同様、塗装不要、接着剤不用で組み立てることができる。成型色が4色用意されているから、塗装することなく好みの色のモデルを買えば、その色の外装が再現できる。

ハセガワの「eもけ」はセリカ・リフトバック。外装色は4色で、車高調整ができるのが特徴ハセガワの「eもけ」はセリカ・リフトバック。外装色は4色で、車高調整ができるのが特徴

成型色というのは、プラスチック素材の色のことで、プラモデルの箱を開けると、黒の目に触れるところのないパーツの成型色や、いわゆるメッキパーツと呼ぶ銀色のパーツと並んで、ボディ外観の色は白のケースが多い。理由は塗装を前提としているため、下地色として適しているからだ。中には赤や黄色などもあるが、いずれの場合も艶が無く、塗装してさらにクリア塗装をすることで、美しい艶が出るのだが、アオシマ、ハセガワともに成型色段階から艶のあるモノとされているので、そのまま組んでも綺麗に仕上がるという寸法である。

模型の世界も、作って楽しむのか、飾って楽しむのか、はたまた動かして楽しむのか、ジャンルは広い。かく言う筆者はスロットカーという分野に興味がある一人だが、スロットカーの場合は、作って楽しめ、飾っても楽しめ、さらに動かしてレースもできる一石三鳥だから、楽しいのである。

第64回 静岡ホビーショー第64回 静岡ホビーショー

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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