【三菱 アウトランダーPHEV 発表】レンジエクステンダーEVに近いシステム…MiEVの名前も候補に

自動車 ニューモデル 新型車
三菱・アウトランダーPHEV
三菱・アウトランダーPHEV 全 12 枚 拡大写真

三菱自動車が9月5日に発表した次世代エコカー『アウトランダーPHEV』。外部電源からの充電が可能な大型の車載電池を持ち、JC08モード走行時で55km以上のEV走行が可能なプラグインハイブリッドだ。

前後アクスルに60kWのモーターを1基ずつ装備し、モーター出力は合計120kW。車載バッテリーの出力がモーターの総出力を下回るため、全開加速時や急勾配の登坂時にはエンジンを使って発電して不足分を補うものの、大半のシチュエーションをバッテリーの電力のみで乗り切ることができる。パワー、航続距離ともに、ノリとしては補助電源を得るために小型エンジンを搭載するレンジエクステンダーEV(航続距離延長型EV)に近い。

昨年12月、愛知県岡崎市にある三菱自動車のテストコースでこのプラグインハイブリッドシステムを搭載した試作車を1時間ほどドライブしたが、EV走行の上限速度に設定されている120km/hまで、スロットルをかなり開け気味にしてもバッテリーだけでスピードを乗せることができた。

バッテリーはGSユアサのマンガン酸リチウムイオンセルで構成されており、総容量は12kWh。「SOC(ステートオンチャージ:電池の使用範囲)は容量の7割程度」(アウトランダーPHEV開発担当エンジニア)とのことだが、それでも8.4kWhと、かなりの電力量だ。そのため車両には、純EVのように急速充電器CHAdeMOのプラグを接続するコネクタが装備されているのも特徴だ。

このアウトランダーPHEV、当初は三菱自動車の電動車両のブランド戦略から、EVと同様に『アウトランダーMiEV(ミーブ)』にする予定であったという。が、「ミーブとつけると、EVのアイミーブばかりが連想されてしまうんです。そこでPHEVというサブネームに決まったんです」(前出の開発担当エンジニア)

かつてマツダがプレミアムブランド「ユーノス」を展開しようとした時、最初に発売した『ユーノス ロードスター』のインパクトがあまりに強すぎ、ブランドの水平展開に失敗したということもあった。そういう問題を回避するために、一般名称であるPHEVに落ち着いたというわけだ。

PHEVという言葉には、ハイブリッドでもありEVでもあるという両義性を込めたとのこと。もっとも、最近よく使われいるハイブリッドカーのHV、プラグインハイブリッドカーのPHVという略称のほうが実は俗称で、自動車エンジニアリングの世界ではハイブリッドはHEV(へヴ:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッドはPHEV(ピーヘヴ:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)というのが正式な呼称。その点では、無難なネーミングに収まったとも言える。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『プリウスPHEV』、黒が冴える「ナイトシェード」設定
  2. ホンダ株主総会で三部社長「完全否定ではない」日産との経営統合に“未練”[新聞ウォッチ]
  3. トヨタの顧客は1億5000万台…バリューチェーンで財務基盤強化
  4. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  5. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る