【トヨタ カローラフィールダー 試乗】アクシオとは明確に異なる足回りのセッティング…松下宏

試乗記 国産車
トヨタ・カローラフィールダー
トヨタ・カローラフィールダー 全 14 枚 拡大写真

『カローラ』というとおじさん向けのクルマと考えている人が多いが、実は必ずしもそうではない。もう何年も前から、カローラの中ではセダンのアクシオよりワゴンのフィールダーの方が良く売れていて、フィールダーでは若いユーザーの比率が高いからだ。

今回の11代目モデルでは、アクシオの搭載エンジンが1.3リッターと1.5リッターになったのに対し、フィールダーでは1.5リッターと1.8リッターが搭載されている。このエンジンバリエーションを見てもアクシオとフィールダーの性格の違いが容易に想像される。

外観デザインは余りにも平凡なアクシオに対し、フィールダーは若々しさやダイナミックさなどを感じさせる。これはステーションワゴンというボディ形状によるところが大きい。基本骨格はアクシオと変わらないので、デザインが全体として平凡であるのは同じだ。

パッケージングの密度が高められたこともアクシオと共通。フィールダーは旧型モデルに比べて全長が60ミリ短くなったが、これはフロントのオーバーハングの短縮によるもの。ホイールベースは変わらないし、室内の居住空間やラゲッジスペースなどはむしろ拡大した。

フラットでスクエアなラゲッジスペースは荷室長や最大荷室長、荷室高などが拡大されて、たっぷりの容量を持つようになった。遊び道具を積んでレジャーに出かけるタイプのユーザーに勧められる。

最小回転半径が4.9メートルへとやや小さくなって取り回し性能に優れることや、乗降性の良さ、視界の良さなど、扱いやすいクルマであることもアクシオと共通する長所だ。

フィールダーでは1.5Gエアロツアラーと1.8Sエアロツアラーの2車種に試乗した。先にアクシオに乗った後でフィールダーに乗ったので、走り出した瞬間からおや、という感じになった。乗り心地というか、足回りの印象に違いが感じられたからだ。

タイヤは1.5Gが175/65で1.8Sが185/60という違いがあるものの、どちらも15インチで、1.5Gにはアクシオと同じエコピアが装着されていた。なので乗り心地の違いはサスペンションの味付けの違いによるものだ。

明らかにしっかりした感じのフィールダー乗り味は、より好ましいものである。乗り心地を重視する年配のユーザーはアクシオの足回りを良いとするかもしれないが、若いユーザーが中心のフィールダーにはこの足回りが適している。

1.5リッターエンジンでも動力性能に不満はなく、十分に良く走る印象だがある。1.8リッターエンジンを搭載する1.8Sエアロツアラーの走りは一段とスポーティだ。発生する103kW/172N・mのパワー&トルクは1200キログラムを切るボディに対して余裕十分といった感じである。

かつてのフィールダーには、パワフルなハイオク仕様の1.8リッターエンジンを搭載していた時代もあったが、今どきのエンジンはレギュラー仕様で燃費性能も重視するのが常識。かつてのパワフルな仕様はかつての時代を、また最新モデルの仕様は今の時代環境を反映したものといえる。

ただ、新型フィールダーの1.8リッターエンジン搭載車は燃費基準を達成していない。エコカー減税が適用されないのは、今どきのクルマとして少しばかり物足りない。また1.5リッターエンジンのアイドリングストップ機構もオプションではなく標準装備にしてほしい。

1.8Sエアロツアラーというか1.8S系には、スポーツモードのスイッチと7速のシーケンシャルシフトが設定されている。マニュアル車に近い感覚の走りを楽しむことができるのは今回のカローラではこのモデルだけだ。スポーツモードを選択すると、G・AI-SHIFT制御と呼ぶ変速制御が行われる。

7速シーケンシャルシフトを設定するのであれば、パドルシフトも設けてほしいところだった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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