【ホンダ N BOX+ 試乗】効率的な荷室空間が生む使い勝手…松下宏

試乗記 国産車
N BOX+
N BOX+ 全 25 枚 拡大写真

ホンダ『N BOX』に新しい魅力を追加した『N BOX+』が登場した。何をプラスしたかといえば、後部空間の使い勝手だ。発想はN BOXをベースに福祉車両が作れないかというところから始まり、レジャーユースも含めて多彩な使い勝手が実現された。

ベース車のN BOX自体が、いろいろな項目において軽自動車で一番という際立ったクルマであり、これを更に魅力アップしたのだから、軽自動車の常識を超える使い勝手が実現されたのも当然だ。

後席を前方に移動させることで生まれた後部空間は、マルチボードで仕切って2段にして使ったり、低い位置に置いて背の高い荷物を積んだり、スロープ状にしてバイクや自転車を積みやすくしたり、車中泊ができるようなベッド状にしたりといった具合に、いろいろな使い方ができる。

通常の4名乗車の状態でも、荷室部分の奥行きは最大630ミリ、高さは最大1140ミリもあるから、かなりたくさんの荷物が積める。

後席の背もたれは、前に倒すときに座面の部分が沈み込みながら倒れるのでボードと合わせてフラットで広大な荷室空間が生まれる。奥行きは最長1380ミリになる。軽自動車とは思えない広さだ。荷室の床面をスロープ状にすると、重い荷物が積みやすくなる。

前席の背もたれを倒してベッドモードにしたときの長さは1900ミリ。背の高い大人二人が車中泊できる空間である。

大きな荷室空間には車いすも積める。車いす仕様車が後から発売されているし、後付けで車いす仕様にするためのキットもある。

福祉車両は特注品であるのが普通で、価格も高くなりがちな上に、普通のクルマとしての使い勝手が悪くなる面がある。N BOXはその問題を解消し、ふだんは普通のクルマとして使いながら、必要なときには福祉車両として使える。

ただ、N BOX+も良い点ばかりではない。リヤの開口部を低い位置から開くようにしたため、バックドアが大きく重くなった。N BOXでもその傾向はあったが、バックドアを開くためには後部に大きな空間が必要だ。

またせり上がってくるバックドアを避けるために体を避けなければならず、こうした点では使い勝手が悪くなった面もある。

搭載エンジンはN BOXと共通で、自然吸気仕様とターボ仕様の2機種。全車に無段変速のCVTが組み合わされる。標準車とスポーティな外観を持つカスタムがあり、標準車にもターボ仕様のエンジンを搭載したモデルがあるのがN BOX+の特徴だ。

N BOXに比べ車両重量が50キロほど重くなったので、これが走りに影響しているはずだが、それを実感できるほどの違いはない。自然吸気エンジンを搭載したモデルでもそれなりに良く走るが、アクティブに使うことを考えたらターボ仕様を選んだ方が良い。

足回りに関してはN BOXよりももしっかりした印象。コーナーでの車両の傾きが良く抑えられて、安定感のある走りになる。背の高いクルマなのにこの安定感は大したものだ。

専用の仕様が追加されたことなどから、N BOX+の価格はN BOXに比べて10万円以上高い。なので買い物や通勤などの日常的な使い方をするだけならN BOXを選べば良いし、便利な機能や大きな荷室を使ってアクティブなカーライフを楽しみたい人や福祉車両として使いたい人はN BOX+を選べば良い。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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