ロマン・グロージャンは、韓国GPではトラブルもなくポイントフィニッシュに持ち込んだ。パドックで散々批判されてきた彼の迷走ドライブは、これによって終息したというのがロータスのブイエ代表の見解だ。
イタリアGP一戦の出場禁止処分が明けて、日本GPでも接触事故を起こし、最近の数週間はドライビングデータを徹底的に調べられるなど、グロージャンは重いプレッシャーにさらされていた。幸い韓国GPでは批判を受けるようなトラブルは影をひそめたため、ロータス代表のエリック・ブイエも胸をなでおろしている様子だ。
「鈴鹿が終わってから、君たちが書いた記事を嫌になるほど目にしたんだから、彼も相当プレッシャーを感じていたのは間違いないだろう。今は私もグロージャンも安堵しているよ。韓国GPの巧みなスタートや途中のトラフィックとの付き合い方などを見ると、苦労しながらも彼は一歩成長したように思える。まずまずの結果であるとも言えるし、大人しいレースだったとも言えるだろうね。まずは自分の立場を固めることが大事だからこれで良かったのだろう。結果を見る限り、チームが期待したとおりだから私は文句はないし、何よりも彼の表情に笑顔が戻ったことが嬉しいよ」
グロージャンがキャリアの危機に直面していた事実をブイエは率直に認める一方で、トップレベルのスポーツマンは誰もがこういうステージを経験してきたはずだと指摘する。
「最悪の危機にあってもプレッシャーに耐え、そこから脱出できるかどうかが、スポーツマンのキャリアの分岐点となる。次のミスは許されないという警告を突きつけられ、大勢の人間が注目する中でのレースはきつい。だがロマンは見事にプレッシャーをはねのけて本当の実力を示し、強さを示した。今度は持ち前のファイティングスピリットを人知れず蓄積しているのかも知れないよ」