トヨタ自動車の『アクア』が乗用車車名別ランキングで『プリウス』を初めて抜いた10月。軽自動車を含めると、“プリウス超え”を実現した車両がもう一車種ある。
ホンダ『N BOX』だ。10月の軽四輪車通称名別新車販売台数で1万8203台。スズキ『ワゴンR』とのデッドヒートを制し軽自動車首位を獲得した。10月の新車乗用車販売台数を含めると、登録車首位のアクア2万4192台に次ぐ販売台数となった。
軽自動車サイズ、あるいはそれより一回り程度大きいサイズで背高スタイルのスライドドアを持つモデルは、いわゆる「プチバン」と呼ばれ、N BOXはプチバンの代表格。2012年の軽自動車市場、国内自動車市場の新風となり、いまもなお市場を賑わす存在だ。
好調なアクアの存在に押されがちではあるが、プチバンの一角を担うトヨタ『スペイド』は10月の新車乗用車販売台数で6180台、5位に食い込んだ。兄弟車の『ポルテ』は11位で3648台。スペイド、ポルテ兄弟合計で1万台に迫る販売台数を維持しており、プチバンはいよいよ国内市場で市民権を得たと言える。
アクアに代表される「低燃費」、N BOX、ポルテ、スペイドらプチバンの「利便性」が車両購入の選択基準として重視されていることは明確で、改めて自動車は「移動の道具」として存在を強めていることがわかる。
2012年は『86』『BRZ』の登場によるスポーツ性の訴求、『CX-5』をはじめとするクリーンディーゼル、先進技術の価値、といったトピックが少なからず存在したが、販売台数を見渡すと、多くの自動車ユーザーが自動車を道具として活用するなかで、自動車側がそのニーズに適応している様が確認できる。