【トヨタ オーリス 試乗】良くまとまったクルマながらインパクトに欠ける…松下宏

試乗記 国産車
トヨタ オーリス
トヨタ オーリス 全 13 枚 拡大写真

トヨタ『オーリス』が2代目モデルに進化した。初代オーリスは欧州仕様そのままの足回りを採用して登場し、普通のトヨタ車とは違う走りを示して注目されたが、その足回りもマイナーチェンジで乗り心地重視に変わっていた。

今回のフルモデルチェンジで改めて走りを主張するモデルになったのかどうかが注目された。1.5リッターと1.8リッターのそれぞれに2台ずつ試乗し、足回りの違いなどをしっかり体感できたが、初代オーリスがデビューしたときほどの強い印象はなかった。

走りは全体にそれなりに良くまとまっているものの、際立つ印象を与える部分はなかった。“欧州車を凌駕(りょうが)する走り”を掲げているが、『ゴルフ』『1シリーズ』『ジュリエッタ』などの欧州の主要モデルを「凌駕している」とは言えない。

『ヴィッツ』系のプラットホームを採用した国内向け『カローラ』に比べたら、オーリスの方がずっと良く仕上がっている。でも走りにインパクトは感じられなかった。これは残念なことだ。

走りのフィールはグレードによって異なっている。特に1.8リッター車はリヤサスの形式も変更していて、かなり良い足回りに仕上げられていた。これなら1.5リッター車も同じ足にしたら良かったように思う。

1.8リッター車のうち今どき何とマニュアル車だけの設定とされたRSは、その心意気は大いに良しとするが、今の若いユーザーの大半がAT車限定免許しか持たないことを考えたら、この設定があり得るのかどうか。

また1.8リッター車も足回りはともかくエンジンそのものは取り立ててスポーティな性格を持つものではない。走りの気持ち良さも平均レベルにとどまっている。

それでいて、燃費基準を達成していない(排気ガス性能は基準をクリア)ために、エコカー減税の対象にならない。エコカー減税を得たいなら1.5リッターのFF車を選ぶしかない。

価格も相当に高めの印象だ。車両本体価格は1.5リッター車でも180万~200万円、1.8リッター車は200万~220万円という水準にある。これにカーナビなどのオプションを装着することを考えたらかなりの予算が必要になる。

カローラで標準装備されていたSRSサイド&カーテンエアバッグが、オーリスでは再びオプション設定に戻ってしまったことも含め、もうひとつ勧めにくいクルマである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. スズキ『ジムニー』ファン必見!限定3000個の精巧キーチェーン登場
  2. ジープ『コンパス』新型発表、初のEVは航続最大650kmを可能に
  3. ポイ活主婦に自動車税の納付の仕方を聞く…キャンペーンで全額還元・ポイントで0円払いもできる!
  4. 静かなオプカンがすごかった! トーヨータイヤ「オープンカントリー H/TII」が登場…岡本幸一郎
  5. ルノーが新型フルハイブリッドを発表、燃費を最大40%向上させる
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 住友ゴム、タイヤ製造に水素活用…年間1000トンのCO2削減へ
  2. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
  3. “走る巨大バッテリー”の実力! BEV+家電は悪天候でも快適に遊べる組み合わせだった
  4. 【学生向け】人とくるまのテクノロジー展 2025 学生向けブース訪問ツアーを開催…トヨタ、ホンダ、矢崎総業、マーレのブースを訪問
  5. VWと米ウーバーが提携、『ID. Buzz』の自動運転車を運行へ
ランキングをもっと見る